催眠療法/臨床催眠の種類とその解説



Therapy 催眠療法の「真実」という程のことでもありませんが
催眠暗示」と「退行催眠でトラウマに直面」
という以外にも、いろいろあるみたいです。


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カタルシス療法:原因除去

 かつては、催眠暗示による「症状除去」がまず試みられ、その結果、症状がぶり返したり、別の症状に転移したり、また催眠トランス中に症状を消す暗示を与 えると不安になったり苦痛を覚えたりすると、力動的アプローチ(いわゆる催眠分析)が行われることが多かった。今は、同じことを、町の催眠家は「退行催眠 をつかって原因(あるいは「トラウマ」)を探ります」などという文句で表現している(いわば素人精神分析が平気で行われるのが、この「退 行催眠」である)。
 いずれにせよ、これらのアプローチは、原因を突き止め、それと直面することに主眼を置く点で共通する。

カタルシス療法

 ブロイアーやフロイトによれば、「神経症」においては、過去において体験した外傷(トラウマ)体験を意識から閉め出(抑圧)しており、これら不快な情緒 を伴った体験が心の奥底に情緒的緊張として残っていることが様々な「神経症」の症状の「原因」である、とされている。この情緒的緊張が表現される機会があ れば、心の底にたまっていた緊張がほぐされ、症状は消えていくとされる。これがカタルシスである。
 カタルシスは通常、「原因」となった出来事について、想起したりや追体験したり、行動化(アクティング・アウト)したり、または言葉にすることによって 行われるが、元来「抑圧」したくなるほど、見たくない思い出したくない体験を「表に出す」ことは、患者本人からいろいろな強い抵抗を受けるのが普通であ る。いわゆる精神分析は、この「抵抗」をどう扱いながらカタルシスに漕ぎ着けるかが、その治療プロセスの大部分となる。
 さて、ブロイアーが偶然、カタルシスを発見したのは、患者を催眠治療している最中のことだった。これは、催眠中には、「抑圧」が緩められるので、緊張の 解放=カタルシスが起こりやすいと解釈される。
 催眠においてカタルシスに患者を導くことができると、通常、患者は激しい感情を表わし(泣きじゃくったり叫んだり)、症状の「原因」とされる(本人も忘 れていた)外傷(トラウマ)体験について語りはじめる。催眠後は、長い間吐き出せないものが吐き出せたことで、患者はすっきりとした感想を覚えることが多 いという。
 一回のカタルシス療法ですべての問題が解決する訳ではないが、その後の面接(セッション)で、同様の催眠中のカタルシスが繰り返し得られることで、症状 が消失していくのが、カタルシス療法の治療プロセスである。

自由連想法

 周知の通り(また本サイトの「催眠の歴史」でも触れた通り)、フロイトは催眠下のカタルシス療 法から出発して、やがて催眠を離れ、自由連想法という精神分析独自の手法にたどりついた。理由はいくつかあげられているが、ここではすべての人に必要な深 さの催眠を得られなかったこと、無意識を意識化するのに必ずしも催眠を要しないことに気付いたことなどと上げれば十分だろう。フロイトは、患者が通常の状 態で思い浮かべる「思いつき」が、これまでの方法に十分取ってかわるとして、自由連想法を始めた。
 これは患者を安静にして、アタマにうかんでくるものをすべて、ありのままに喋らせていく方法である。患者は寝椅子に寝かされ、精神分析医は患者の頭の後 ろに座り、「こんなことを話すのはイヤだ/恥ずかしい/関係ない/つまらないことだ」などと批判や躊躇が浮かんできても、とにかくそのまま話すように要求 する(自由連想法の基本原則)。この原則は、抑圧をゆるめる催眠にかわって、患者の社会的顧慮や自我の禁圧をゆるめることを目的としている。しかし、無意 識的なもの、とくに外傷(トラウマ)体験に関するものが、当初から「自由」に語られる訳ではない。治療は次のようなプロセスを経て進んでいく。
  1. 感情転移の発現‥‥自由連想によって解放されはじめた無意識の欲求が、分析医に向けられ、患者と分析医との間に特別な感情関係が生まれてく る。
  2. 感情転移神経症の形成‥‥分析医との感情関係に、これまで症状形成に使われてきた(そして抑圧されてきた)エネルギーがそそぎこまれ、患者と 分析医の関係が変化する。これは元の神経症が、患者と分析医との間の感情転移神経症にシフトしたことを意味する。この時期には、過去の(外傷(トラウマ) 体験にかかわる)対人関係が、患者と分析医との間で反復され、抑圧されてきたものが治療関係(治療室)の場に噴出してくる。
  3. 感情転移の解消‥‥徹底操作(=抑圧されてきたものの解釈に対する抵抗を克服する精神分析過程のこと)を経て抑圧されてきたものが受け入れら れ、感情転移神経症において見られた反復から脱出し、感情転移は消失し、症状も消え、患者は現実適応していく。

催眠中の自由連想

 よく知られたことだが、(さまざまな抵抗が生じることもあって)精神分析は時間がかかる。スタンダードなやり方だと一回のセッションが50分で週5〜6 回(!)、これが数年にわたって続くこともある(数百回の精神分析!!)。
 このため、フロイトが捨てた催眠が、再び自由連想法に持ち込まれることになった。催眠中の自由連想は(抑圧がゆるんでいるためか)、覚醒時のそれよりも 無意識の材料がより引き出しやすく、結果として時間が短くて済む利点があるからである。たとえばウォルベルグは、催眠を用いた1回の面接が、覚醒時の自由 連想の数週間に匹敵するとさえ言っている。
 まず患者を催眠に誘導し、そのあと「なにか心に浮かんでくるものがあったら、あなたはすすんで話します。私がどう思うかは気にしないで、楽に話せばいい のです。あなたは今とても楽に息をしていますが、それと同じように楽に話ができますよ」などと暗示を与えて、自由連想法をやってもらうのである。

催眠分析

 ハドフィールドは、第一次大戦中、未曾有の戦争のおかげで爆発的に増えてしまった戦争神経症の治療に、患者を催眠に導入し、外傷(トラウマ)体験の時期 まで退行させ、それにまつわる記憶や情動を発散させるブロイアーばりのカタルシス療法を使い出し、これを「催眠分析」と呼んだ。
 このあとリンドナーは、旧来のブロイアー的な催眠カタルシス法ではなく、正規の精神分析と催眠との間を往復する治療法についてのみ「催眠分析」という名 称を使うべきだと提言した。
リンドナーがいう「催眠分析」は、次のようなプロセスを踏む。基本は通常の自由連想で進め、抵抗の処理だけに催眠を使うものである。
  1. 催眠の訓練‥‥はじめの数週間は、患者の催眠に対する抵抗を除き、一定の深さの催眠に入ることができるように訓練を行う。目標は、治療者の合 図によって直ちに催眠に入り、また後催眠健忘暗示を受け入れ、さらに退行暗示によって昔の記憶を回復できるようになっていることである。また催眠中の患者 と治療者のコミュニケーションのために、自動書記や遊戯療法、むろん催眠中の口頭での受け答えができるような練習も行われる。
  2. 催眠分析‥‥十分な催眠の訓練ができた後、今度は通常の覚醒状態での自由連想が行われる。連想の途中で抵抗が現れたときには、事前に訓練して 尾いた合図でもって直ちに患者を催眠に導き、その抵抗を処理するようにつとめる。抵抗が処理されると催眠中に抑圧された材料が浮かんだままになっているの で、(いきなり覚醒して直面させないように)浮かんできた「抑圧されていたもの」についての健忘暗示を与えてから、催眠から覚ます。そしてまた、覚醒状態 での自由連想が続けられる。
 アンナ・フロイトは、催眠は自我の同意なしに無意識の材料を取り出すことから、まだ準備のできていない自我が「抑圧されていたもの」に直面して、破局に 陥る可能性があると、精神分析における催眠の使用を非難した。リンドナーの「抑圧されていたもの」についての健忘暗示は、これに応じた形になっている。つ まり健忘暗示の効果は一時的なものではあるが、それを与えられた患者は、催眠中に浮かんだ「抑圧されていたもの」について、少しずつ思い出していくことに なる(少しずつ自我に入っていく、といってもいい)。すべてを思い出すにはかなりの時間がかかり、少しずつ自我に入ってくることで、自我の方もいきなり直 面する危機を回避し、しかも少しずつ慣れながら「抑圧されていたもの」を受け入れることができる、という訳である。

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