催眠ブックリスト、催眠書籍集

自分ではじめるための催眠療法ブックリスト


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君にもなれる催眠療法士、そのためのブックリスト
これでインチキセミナーに何十万円も払わなくてすむぜ。



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ミルトン・H・エリクソン全集(邦訳)の刊行がはじまりました。  目次、前書きはこちら


ゼロからはじめる催眠入門



 テツオ先生の催眠コーナー

ネットで読める、つまり無料。なんたらセラピ−研究所とは違って、
かなり内容の深い催眠のエッセンスをまとめてある。
はっきりいって1000円代の催眠本なんかは、この1/10の内容もない
(実は、もっと高い本からの抜粋が多いんだけど)。

cool イゴール レドチャウスキー『催眠誘導ハンドブック—基礎から高等テクニックまで』2009,金剛出版amazon.co.jp

ものすごいオススメ本です。
豊富な内容、わかりやすい説明、しかも簡潔で薄いので読みやすい。3拍子揃った、新しい定番催眠誘導書の登場です。
  日本語では未紹介だったものから、クラシックなものまで、ものすごい数の催眠誘導について、イラスト入り、動作やタイミングを含めて丁寧に解説してあり、しかもコンパクトです。
  催眠誘導を学ぶ前に行うと有益なエクセサイズもふんだんに載っています。もうコトバ(スクリプト)だけの催眠入門や、数万円する催眠術師の(大したことをやってる訳でない)ビデオは不要です。
著者は、いわゆるレイ・ヒプノティストですが、日本臨床催眠学会で研修委員長などをつとめた大谷 彰 氏が翻訳したことからも、その実力が伺われます。
いろいろツッコミを入れたいところはあるのですが(そして事実、訳者はかなりツッコミを入れてますが)、それらを勘案してもとても有益な本です。
とりあえずこれ一冊あれば、クラズナーも日本の催眠術師が書いてる本も要りません。


成瀬悟策『催眠の科学—誤解と偏見を解く』,1997, 講談社  amazon.co.jp
日本における催眠の第一人者(しかも世界レベル)によるブルーバックス。内容はタイトル通り。これを読めば催眠 家になれる訳ではない。が、これを読んでおくと、自称催眠家や催眠業者のHPの多くがいかにデタラメか、あるいは世の人の催眠の理解がいかに偏見に満ちて いるか、がよくわかる。

人気 A・M・クラズナー『クラズナー博士のあなたにもできるヒプノセラピー』1995,VOICE  amazon.co.jp

催眠を独学するのに、何か1冊というならこれ。
他人に催眠かけるのに最も大切なことは、
いろいろな手を身につけるよりも、まずは失敗しないこと、そして信用されること。
そのための、実に丁寧にプロセスがまとめてある。
「トラウマに踏み込むな(こうやって引き返せ)」といった、越えてはならない(リスクの高い)一線の指摘も、そのための対処法も触れてある。
いろんな意味で失敗のない一冊。

武藤安隆『完全マスター催眠術』,1995,日本文芸社  amazon.co.jp
こちらは、日本で標準的な催眠術テキストだった『催 眠術完全マニュアル—あなたも催眠術師になれる!』の改訂続編。
大きな違いは誘導者による催眠誘導の音声が入ったCDが付いていること。初心者には参考になるかもしれない。
クラズナーのは、すでに言葉を主に使い、相手に触れない催眠導入になっているが(クラズナーのものこそCDがついていればいいのだけれど)、こちら は後倒法など、相手に触れる催眠が中心(これが日本ではいまだに標準的:たとえば日本催眠医学心理学会の理事長だった斎藤稔正氏の『催 眠法の実際』もこのレベル)。写真が多い。説明がやさしい。
翻訳物は(訳者のよしあしもあるので)嫌だ,と言う人にはこれが無難。 もう少し、ものわかりが悪い人にも薦められる。

催 眠売れ筋



すぐに役立つサプリメント



リーバーマン『相手を思いのままに「心理操作」できる!—常に自分が優位に立つための「応用力」』,2001,三笠書房 
amazon.co.jp
 術をかける前から、クライアントとの勝負は始まってる。この本で優位に持ち込めば(相手をあやつれば)、 催眠の成否はもはや関係なし!?催眠抜きの心理操作本。
 類書は多いが、対人心理学の応用とはっきりしたマキャベリズム的なスタンスでこの本が一押し。

人気 チャルディーニ『影響 力の武器—なぜ、人は動かされるのか』[第2版],2007,誠信書房  amazon.co.jp
 教科書にも使えるクオリティと、寝ながら読めるわかりやすさ、今日から使える「イエスとい わせる」技の数々をわかりやすく6つに分類し、しかも「技にひっかららない対処法」まで教えてくれる(技の方が強力に思えてしまうのだけど)。書評も専門 家もべた褒めの一品が、第2版になって帰って来た。
 社会心理学の教科書から詐欺師・セールスマン・職業洗脳家のマニュアル(&対策マニュアル)にまで使えるこの分野の代表的著作。

 リチャード ネルソン・ジョーンズ 『思 いやりの人間関係スキル—一人でできるトレーニング』,1993,誠信書房  amazon.co.jp

 催眠は対人的な働きがけだから、ひっこみ思案の人、人づきあいに苦手な人にはそれだけ敷き居が高い。
 この本は、そんな催眠未満の人のための、ブースター本。人付き合いに必要なスキルと自信(マインドセッティング)を、一人でできるトレーニングを通じて 獲得できるもの。
 トレーニングの中身は、対人心理学の知識や、カウンセリング、認知療法などで用いられつちかわれてきたテクニックがうまく編曲されている。

cool オハンロン『可能性療 法—効果的なブリーフ・セラピーのための51の方法』,1999,誠信書房 amazon.co.jp

 学ぶのも治すのも最速のブリーフセラピー。
 これはそのための、「何を口にすればいいか」を網羅した、セリフ/質問のエッセンス集。
 ほとんど対極に位置するかと思われる、ひとつのやり方で通したロジャーズからあらゆる方法を自在につかったエリクソンまで、あるいはクライエント中心療 法から解決指向アプローチまでこの小さな本に入ってる。しかも小さくて具体的なツールになっている。どの心理療法を学んだ人も、どこから学ぼうかと思って いる人も、この本を読み、他のものを学んだ後、もう一度読み返せば、どちらの理解もつながり合い、ためになること間違いなし。


一押し 内山喜久雄『行動療法:講座サイコセラピー2』,1988, 日本文化科学社  amazon.co.jp  

 栗山一八がいうとおり、行動療法は、催眠療法のお隣さんである (ヒ プノセラピストは知らないうちにいくつも行動療法の技法を使っている)。だから催眠しか知らない人は、まず行動療法を学ぶと良い。何百という手法と科学す る心が手に入る(後者は一生ものである)。日本文化科学社のこのシリーズはコンパクトな割には、内容盛りだくさんでお買得感が大きいが、シリーズ編者のひ とりにして行動療法の大御所内山喜久雄が放つこの小さな本は、行動療法の始祖である系統的脱感作法から主張訓練法、情動提示法、リラクゼーション法、行動 強化法、行動消去法、認知行動療法(レスポンデント系)、認知行動療法(オペラント系)、認知行動療法(ハイブリッド系)、モデリング法と扱い、症例 (ケース)も盛りだくさんで、図解も多くておまけに分かりやすい。これ以上、何を望もうか。


国分 康孝『カウンセリングの理論』,1980, 誠信書房  amazon.co.jp

 心理療法についての各種理論(精神分析、来談者中心療法、行動療法、心理テスト、交流分析、ゲシュタルト 療 法、実存主義的アプローチ、論理療法)を手っ取り早く学べる。これでライバルの他の療法についても、蘊蓄たれられる。 日本で異なる心理療法について、一人の著者が書く例はあまりないが、クライアント中心の「折衷主義」(相手に合わせて,何でも使う)を実践する著者ならで はの仕事。
 どの章も実にシンプルかつ闊達。ひとつひとつの文章も短くて、しかも滋味にあふれる。たとえば精神分析の快感原則を「通俗的にいえば、掃除当番をさぼる 心理である」、行動療法の消去(法)を説明して「つまり、仏の顔も三度まで。これが消去法である」などなど。
 欠けているのは、エリクソン以降の家族療法や短期療法やシステムズアプローチや解決指向アプローチ、あるいは行動療法と認知療法が合流した認知行動療法 など次世代の部分。これらは、下の書物などで、個別に拾っていこう。

人気 若島 孔文 (著), 長谷川 啓三 (著) よくわかる!短期療法ガイドブック』, 2000,金剛出版  amazon.co.jp
 現在の世界標準が認知行動療法なら、これからの主流はブリーフセラピー(短期療法)であることは間違いな い。 症状を再生産させる悪循環のエネルギーを治療に利用するので、ただ速いだけでなく、省エネルギー、加えてクライエントが脱落することがとても少ない21世 紀の(笑)心理療法。
すごぶる有能だが、既存の心理療法を学んできた人には、かえって発想からして理解しにくいかもしれない。
「指パッチンで家庭内暴力を治す」「逆立ちでパニック障害が治す」「15秒で足の震えが止める」「賭けで摂食障害が解決する」「本人が来なくても家族が来 るだけで治ってしまう」。知らない人が見ると魔法のような短期療法もまた、魔術師とよばれたエリクソンの流れを汲む心理療法である。この書はタイトル通 り、最速の心理療法である「短期療法」の理論と応用が最速で教えてくれる。しかも「変化」を重視するMRI派と「ソリューション・フォーカス・アプロー チ」の解決志向派の合わせ技、裏と表のアプローチ。さらにこれは、マニュアルと教科書をかねた本。必見、必読。

マギー・フィリップ『最新心理療法—EMDR・催眠・イメージ法・TFTの臨床 例』,2002 ,春秋社  amazon.co.jp
 短期間に多くのエビデンスを積み上げたEMDR(EYE MOVEMENT DESENSITIZATION AND REPROCESSING)などはもうアメリカの催眠のコースに入っているところもあるくらいだし、 エリクソン派の催眠療法なども取り上げられているので、この本を中級編にいれた方がいいかどうか迷ったけれど、結局「いろんな心理療法」のくくりで、ここ に置いた。
エネルギー療法と総称される、目新しい(そのため、少々「眉唾もの?」と思われている)各種療法の実際を、丁寧かつ誠実に実践し、紹介しているのがミソ。
この本で取り上げられている、EMDR、臨床催眠、エリクソン催眠、エゴステイト(自我状態)セラピー、指示的イメージ療法、夢療法、TFT(思考場療 法)、ボディフォーカシング法等について、それぞれを専門に扱った文献がぼちぼち翻訳されはじめたけれど、ある療法をひとつだけ取り上げると、とくに新し い療法の場合「どれだけこの方法が強いのか」を述べるのに力が入ってしまって、あまり「公平な扱い」と思えなくなるのが玉にキズである。安い催眠療法書だ と、まだまだそういうのがあるよね。
そこへいくと、この本は、もちろん成功例を持って事例紹介していくのだが、失敗例があることも隠さず触れている。そして、最後にはさまざまな療法を組み合 わせた統合モデル(折衷モデル?)に進んでいく。eclecticist(折衷主義者)は、○○療法原理主義に陥らない。自分が使えるいろんな療法の長所 と短所をちゃんと自覚している。だからこそ折衷が必要であり、だからこそ折衷が可能となる。折衷的eclecticというのは心理療法においては、ほんと は最高の褒め言葉なのである。なんとなれば、セラピストが方法を選ぶのではなく、クライアントが方法を選んで(選べて)こそ「クライアント中心」であるの だから。

※アメリカEMDR研究所(EMDR Institute)、EMDR国際学会(EMDRIA)及びその関連団体であるEMDR Network Japanは資格のない者がEMDRを教えることを強く禁じている。





門外漢から一気に「こころの専門家」に



ナイジェル・C. ベンソン 『マンガ心理学入門—現代心理学の全体像が見える』,2001,ブルーバックス 
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心理学がまるで門外漢でも、これ1冊よんどきゃなんとかなる。よくできてる。1日で読める。

cool『心理学研究法—心を見つめる科学のまなざし』, 2004,有斐閣アルマ  amazon.co.jp
心を科学するとはどういうことか? いや科学的説明とはそもそも何なのか? 科学に何ができて何ができないの か? 実験と観察は何がどう違うのか? 実験のめんどくさい手続きのひとつひとつはどんな意味があるのか? 変数の統制とは何のことで何をすればよいの か? などなど、「こういうものだ」で済まされがちな基礎の基礎のレベルから初めて、心理学をつくること/心理学することとは何かを解き語る入門書。研究 法の本は最近ずいぶんと多いが、ここまで遡っているものは珍しく貴重。普段は『完成品』として出会う心理学がどんな風に作り上げられているかが分かれば、 エセ心理学やエセ科学を選 り分けることができるようになるだけでなく、心理学の理解も進む。

cool 『ヒルガードの心理学』,2005,ブレーン出版  amazon.co.jp

新版の翻訳が出ました。心理学の本をいろいろ買うくらいなら、最初からこれを買って読むべき。結局その方が安く つく。
最高、そして最強。基礎から最新のトピックまで、これ一冊でとにかく足りる。こ れの原書Atkinson and Hilgard's Introduction to Psychology With Infotrac )を読むの もよい(ずっと安い)。これの英語は読みやすい。


cool
春日武彦『援助者必携 はじめての精神科』,2004, 医学書院  amazon.co.jp

 これ、いい本です。まさに援助者必携。クライエントやその家族とどのように接していけばよいか、精神科の医師 が自分の経験を交えながら、コンパクトにまとめた援助者向けのアドバイス集です。歯に着せぬ記述内容が少々きついかもしれませんが、精神疾患の方に対応す る方は必読です。統合失調症や人格障害などの主要な疾患について、疾患概念や症候を解説してあります。実践的に活用できるQ&A集もあります。


Daniel J. Carlat『精神科面接マニュアル 第2版』,2006,メディカルサイエンスインターナショナル  amazon.co.jp  

 これはいい!全臨床家に強力にお勧めできる。
 小さくて情報豊富、専門的だがもったいぶらず、すぐに使えるが繰り返し読みたくなる深みもある(笑えるところまである)。教科書ではないが、臨床初心者 にも勧められる。それぞれの章はコンパクトにまとめられ、さらに各章のサマリーが冒頭に「名刺大サイズ」でまとめられている。精神科面接について、いたせ りつくせりの、しかもポケットにも入るマニュアル。
 面接時間の使い方や診察室のおさえ方にはじまり、さまざまな質問のテクニック、面接をいやいや受ける患者やしゃべりすぎる患者、色目を使う患者への対処 法、病歴・生活歴の聞き方とそのためのメモのフォーム、症状評価にいたってはDSMの暗記法(たとえば統合失調症の診断基準だと、「妄想は分裂病患者には 悪い知らせDelusions Herald Schizophrenic's Bad News」=D,H,S,B,N=Delusions妄想、Hallucinations幻覚、Speech disorganization会話の解体、Behaivor disorganization行動の解体、Negative symptoms陰性症状)から、診断の差が大きく治療方針を変えるキーポイントの囲み記事、最後には疾患別患者向けパンフのサンプルまで入っている。
そ の他精神医学書



中級編:これで自称催眠療法家と差をつけろ




ジョージ・ガフナー , ソーニャ・ベンソン (著), 門前 進(訳)『新催眠の誘導技法—心理臨床の幅を広げる』,2005,誠信書房   amazon.co.jp

 ヘンテコな邦題と思われるかもしれませんが、エリクソン以降、良質 ともに爆発的に広がった催眠誘導について、ようやく本格的といってもいい本が出ました(翻訳ものですが)。原典はHandbook of Hypnotic Inductionsという有名な本で、これにHandbook of Hypnotic Suggestions and Metaphorsが あれば完璧です。たくさんの催眠誘導技法が、それは丁寧に脇注つきで解説されています。あまり顧みられない催眠深化についても見どころ満載です。あなたは 未だにライターの火を見つめさせてますか?「後ろに倒れたくなる」なんてやってますか?


cool 吉 本雄史 , 中野善行 (編集)『無意識を活かす現代心理療法の実践と展開—メタファー/リソース/トランス』,2004,星和書店   amazon.co.jp
 ついに出た、今までにない現代臨床催眠の手引書。名うての臨床家達がこれでもかというくらいに、実践で培われ た知見を披露してくれる。誰かが言ってた が、催眠を学ばずに心理臨床に挑むのは、絵の具を混ぜ合わせることを知らずに油絵を描くようなものだ。すべての臨床家に、何故催眠か、何が催眠療法なのか を知らしめる書。今は多くを語る余裕がないが、またひとつ必読書が登場した!!

cool W.H. オハンロン『ミルトン・エリクソンの催眠療法入門—解決志向アプローチ 』,2001, 金剛出版  amazon.co.jp
 催眠には、古典催眠、セミ古典/科学的催眠、エリクソン催眠(現代催眠)がある。日本の術者が、ほとんど古臭 い古典催眠の域。ビジネス向け改悪でしかないNLP野郎が、恐れ多くも、エリクソン催眠を自称している始末。
 これは、ほんとのエリクソン催眠を本だけで学べる奇特な一冊。
 もう少しお金がある人は、ビデオ『エリクソン催眠・心理療法トレ−ニング・プログラム/初級 全3巻』,1997,亀田ブックサービスを (催眠関係の馬鹿だかいDVDやらを考えると、この値段は破格!)。講師のギアリー氏、すごい髪型です。 合間のジョークもすごいです。

Robert Anue『Zebu: The Hypnotic Language Card Game』(Robert Anue, 1992)amazon.co.jp
Jamie Smart 『Ericksonian Hypnosis Cards』(Wordsalad Publications, 2006)amazon.co.jp
Jamie Smart 『Nlp Coaching Cards』(Wordsalad Publications, 2006)amazon.co.jp
Jamie Smart 『Irresistible Influence Cards』(Wordsalad Publications, 2006)amazon.co.jp
Jamie Smart 『Instant Wealth Cards』(Wordsalad Publications, 2007)amazon.co.jp
Jamie Smart 『Instant Happiness Cards』(Wordsalad Publications, 2007)amazon.co.jp

 エリクソン催眠を教えていた人が、クラスルームで使うように作った、「遊びながらエリクソン催眠が見につい ちゃう」カードゲーム。 何でもないアイデアなのですが、こういうのを実際に作って売ってしまうのがイイです。
 Zebuの方はずっと品切れでアマゾン高値のせいで、ほとんど似たようなカードがもっと分かりやすいタイトルで出てました。リーズナブルな値段です。と いうか、その程度の値段が相当のシロモノだと思います。他にもこの人、Nlp Coaching Cardだとか、いろんなものを出してますね(笑)。
 


一押し 成瀬悟策『催眠面接法 POD版』,2007, 誠信書房 amazon.co.jp

 「催眠の全てがあるといっても過言ではない」本書が、POD(Print On Demand)版として出版されました。少し時間はかかりますが、本書のような良書が確実に手に入るようになったことは喜ばしいことです。
 この本を読むと、あとの日本の催眠本のほとんどすべてが、曖昧で頼り無く思えてくるのはホントです。
 臨床系で催眠を使おうという人は、まず絶対読んでいます。読んでない人はとんでもなく駄目か不遜な催眠家です(たとえばメアドをたくさん取得してたの か、何人もになりすまして、自著のカスタマレビューを何本も書き込んでいる催眠家などの本はうっちゃっておいてかまいません)。

一押し ジェイ・ヘイリー『アンコモンセラピー— ミルトン・エリクソンのひらいた世界』,2000 , 二瓶社 amazon.co.jp

 20世紀最大の催眠家(多くの催眠現象について莫大な研究を行った科学者(研究者)であり、また数多くの技法 を開発した実践家であり、全米中を実演して回った普及者でもあった)、かつ最高の心理療法家であるミルトン・H・エリクソンの名を、世に知らしめた書物。 著者ヘイリーはベイトソンらとともにエリクソン相手に行った長時間のインタビューを下に、この書をまとめた。
 いわゆる催眠についての本ではないが、催眠家としてしかエリクソンを知らない人は、この案内書によって、エリクソンがそれを遥かに越えた存在であること を知るだろう。心理療法にたずさわる者は、この書から多くの謎と問いを手にするだろう。そのたったひとつを解くことでも、得られるものは測り知れない。
 読みにくい部類の本ではないが、容易に読み解ける書ではない。ある時はヒントを探して、ある時は次の段階へと至る階梯を得るために、いずれにせよ繰り返 し読むことになるだろう。


蔵内宏和,前田重治『現代催眠学 : 暗示と催眠の実際』,1965, 慶応通信  amazon.co.jp

 日本ではとてもめずらしい精神医学者による催眠学書。数少ない、日本産催眠本でお勧めできる浮ついたところの ない手堅い一冊。古いけど必読(古書店で、わりと簡単に見つかる)。

栗山一八『催眠面接の臨床』,1995, 九州大学出版会  amazon.co.jp

 人間心理および心理療法について「ずぶの素人」だった著者が、「日本一の名医」とまで言われるまでになったそ の経緯を、自らの手で書き記したもの。催眠療法がうまくいかず(難しい患者がつづいて)落ち込み、あるいは全快を伝えに最訪してくれた患者に感動し、さら に勉強への熱意をたぎらせる。 その文章の手は素朴だが、よき先達やよき患者に、ひとりの町医者が文字どおり育てられていく様に、深く感動する。いや、ほんといい話なんだ、これが。
 悩みながら成長しようとしているすべての臨床家に捧げたい名著。


ウォルバーグ『催眠分析』,1996,新興医学出版社  amazon.co.jp

 翻訳は新しいが、原書は古い(1940年代)。この本のように訳されてない催眠の名著は数知れずある。つまり 英語を避けると、ハルギリガンデ イブ・エルマンウァ イゼンホッファーも読めないままになる、ということ(ヒ ルガードバー バーはかろうじて「催眠名著シリーズ」(誠信書房)で邦訳があったが、どちらも入手困難。シリーズもこの2冊を出したきりで中断)。催眠の鎖国に 陥らないためにも、もっとちゃんと訳されてほしい。もっとがんばってほしい>研 究者のみなさん。

ヒルガード『催眠感受性』,1973, 誠信書房  amazon.co.jp

こちらは翻訳されたのは決して新しくないが、「催眠名著シリーズ」の 第1冊目にふさわしいセレクション。『ヒルガードの心理学』の、あのヒルガードが、アメリカ心理学会の会長もつとめたアメリカを代表する心理学者のひとり が、スタンフォード大学に催眠研究の拠点を設け、研究に打ち込んだのは忘れてはならない事実である。この著は、それまでの科学的催眠研究を一冊にまとめあ げた充実の一冊。自称催眠家があれこれ疑問に思ったり、怪しげな自説でごまかしていたりするようなことは、この本に紹介される研究のなかで、ほとんどすべ て解決済みである。逆にこの本を知らずに、催眠をやったり催眠について語ったりすることは、せっかく先人たちが明らかにしてくれた知見を全然知らずに、そ うしていることに等しい。

バーバー『催眠』,1975, 誠信書房  amazon.co.jp

 こちらは「催眠名著シリーズ」の第2冊目を飾るセレクション。催眠 にできるようなことは、すべて、催眠なしでできるということを、卓越したアイデアに富む実験と、執拗な追求心でもって実証した「非状態派」の記念碑的著 作。四半世紀以上前に、こうした著作が出され、しかも翻訳されていることをまるでしらずに「催眠の素晴しさ」を解く連中のおめでたさに、軽く驚愕しておこ う。
 催眠を「殺した」バーバーの数々の実験のアイデアは、実のところ、催眠でないような催眠として、エリクソンが駆使したテクニックに類似するものも少なく ない。エリクソンの死後、ヴァイゼンホッファーは「エリクソンは催眠でないものも、催眠に見せる天才だった」と非難めいたコメントをしているけれど、「催 眠殺し」のバーバーをも飲み込んで、「それも私に言わせれば催眠だよ」と快活にいうであろうエリクソンが想像できる。
 バーバーを知ることは、催眠のくだらなさと、その向こうに広がる(伝統的催眠では到達できなかったであろう)可能性を知ることである。

エレンベルガー『無意識の発見:力動精神医学発達史』,1980,弘文堂; ¥5,600(上)amazon.co.jp ¥6,600(下)amazon.co.jp

 催眠の歴史は押さえておくべき。そうすれば、なんで催眠がこんな扱いを受けるのか、よくわかる。
 精神分析の歴史の本と思われているきらいがあるが、前半はほぼ催眠の歴史である。
 また、フロイトの影に隠れてあまり知られていなかった、はやりの乖離性障害に関してはこちらの方が重要になる「もうひとつの無意識論」を展開したジャネ について,詳しく紹介した最初の本でもある。


一柳廣孝『催眠術の日本近代』,1997,青弓社;¥2,400 amazon.co.jp

 催眠の歴史は押さえておくべき。そうすれば、なんで催眠がこんな扱いを受けるのか、よくわかる。こっちは日本 について。
 催眠がどのように、「いかがわしく、かつ、エロティックに受け取られていったのか」や医学の国家制度化が進む中で、催眠の本籍を医学と心理学が奪い合っ たり、医学に取り込まれず在野に残ることになった催眠がどのように弾圧していったか、それに対してどのように催眠が「宗教」などに身をやつしていったかな ど、催眠の「今」につながる話が満載。
 催眠の過去と現在、表と裏を知るために一読したい。

吉永進一編『日本人の身・心・霊 : 近代民間精神療法叢書』全8巻, 2004, クレス出版;\99,750(税込)
吉永進一編『日本人の身・心・霊 : 近代民間精神療法叢書II』全7巻, 2004, クレス出版;\96,600(税込)
吉永進一編『催眠術の黎明:近代日本臨床心理の誕生』全7巻, 2006, クレス出版;\94,500(税込)
 

 これらは、『催眠術の日本近代』に登場するような黎明期の催眠文献 を採 録したもの。
 『日本人の身・心・霊』には、村上辰午郎『精神統一 心理実験』から高橋五郎『幽明の霊的交通』や桑原俊郎『精神霊動』など、
 『日本人の身・心・霊II』には、メスマー著、鈴木万次郎訳の『動物電気概論』から佐々木九平『催眠術に於ける 精神の現象』、木村駒子『観自在術』など、
 『催眠術の黎明』には、はじめて催眠記事が載った『哲学会雑誌』催眠関係記事(第1巻)から、「国会医学会雑誌」に掲載された医学者、心理学者、法学者 らの論文をまとめた『催 眠術及ズッゲスチオン論集』(第4巻)、また大日本催眠術奨励会長であった小野福平の著作(第6巻;実は彼の『催 眠術治療精義』は国会図書館の「近代デジタル・ライブラリー」 で読めます。さらに 福来友吉『催眠心理学概論』(明38.6)や 竹内楠三(訳編)『実用催眠学』『催眠術矯癖自在』や『千里眼』『近世天眼通実験研究』などなど50点あまりの文献が見れます。)や、村上辰午郎『最新式 実験催眠術講義』(第7巻)まで、催眠の日本近代史に輝く文献を収録。こんな企画が実現するなんてすごい。みなさん、図書館に入れてもらいましょう。

そ の他催眠洋書



自らを高めるプロテインとして(脳科学・基礎医学など)


cool
岡野 憲一郎『脳科学と心の臨床—心理療法家・カウンセラーのために』,2006,岩崎学術出版社:¥ 2,625 amazon.co.jp
トム・スタットフォードほか 『Mind Hacks—実験で知る脳と心のシステム』,2005,オライ リージャパン;2,940円  amazon.co.jp

フロイド・E・ブルー ム『新・脳 の探険』,1987, ブルーバックス;¥2,100(上)amazon.co.jp ¥2,100(下)amazon.co.jp
シュピッツアー『脳 回路網のなかの精神』,2001,新曜社;¥4,800  amazon.co.jp
ハイマンほか『精神医学の分子生物学』,1997,金剛出版;¥5,200  amazon.co.jp

 脳科学(神経科学)の入門書たち。
 とりあえず一冊と言うなら、『脳科学と心の臨床』は精神科医が書いた、臨床心理士のための、脳科学入門書。日頃,自分たちが臨床で向き合う「こころ」が (そしてその病いが)、どのようにして脳という器官から出てくるのか。予備知識なしに読めるすぐれもの。
 『Mind Hacks』は、自分(たち)でできる簡単な実験で、脳と心のはたらきを知る、新しいタイプの脳の本。扱うのは「脳の構 造」「視覚」「聴覚」などの基礎的なものから、それらを統合して行われる「運動」「推論」「記憶」、さらに実生活に必要な「他者との関係」まで。自分の頭 のなかでは何が起こっているのかを知りたい方、心の成り立ちを知り、その知識を使いたい人(もちろん催眠家は誰だってそうだろう)には、まず一読そして一 通り実験(Hack)をお勧めする。
 ブルームの『脳 の探険』(最近改訂版が翻訳された)は、カラーイラストも美しく、内容もかなり充実。おまけにブルーバックスなので電車の中でも読める。
 シュピッツアー『脳  回路網のなかの精神』は、より脳から精神(こころの働き)の方まで踏み込んだもの。この人もドイツの精神科医なのだが、ニューラルネットの知見 と自ら統合失調症のクライエント相手の心理学的実験を通じて、実にわかりやすく脳のメカニズムを解き明かす。「情報処理」なんて言葉でごまかさず、どんな 情報処理が行わ れているかを解説してくれる。『Mind Hacks』が自分を実験台にして脳と心を知る本、ブルームの『脳の探検』が「見て分かる図」本だとすると、この本はメカニズム(はたらき)が分かる本。
 ハイマンの『精 神医学の分子生物学』は、分子生物学とあるが、精神医学まで標的にいれた神経科学の本。神経薬理学の観点から遺伝子レベルの話題まで深く掘り下げ て扱っているので、このあたりがアタマに入ると、催眠の理解も段違い。


『岩波講座 現代医学の基礎3 人体のなりたち』,1998, 岩波書店;¥5,400  amazon.co.jp
『岩波講座 現代医学の基礎4 生体の調整システム』,1998, 岩波書店;¥5,400  amazon.co.jp
『岩波講座 現代医学の基礎6 脳・神経の科学Iーニューロン』, 1998, 岩波書店;¥5,200 amazon.co.jp
『岩波講座 現代医学の基礎7 脳・神経の科学IIー脳の高次機 能』,1998, 岩波書店;¥5,400 amazon.co.jp
 「岩波講座  現代医学の基礎」。見向きもしなさそうだが、たとえば、これのは、 神経科学を最近現状を概観するのに、結構便利。各章はどれもその道の一線の研究者が書いていてしかもコンパクト(これがポイント)。
 ついでに催眠に関係ありそうなところで「3  人体のなりたち」(解剖学編)「4  生体の調整システム」(生理学編)も並べてみた。実はもう少しイラストレイテッドな本が好みだが、コンパクトさをとって(でも安くない本だな あ、医学書ってのはもっとバカ高いもんだが)。まあ一度、図書館あたりで手に取ってみて下さいな。

高橋長雄『からだの地図帳』,1989,講談社amazon.co.jp
山内 昭雄,鮎川 武二『感覚の地図帳 地図帳・ナース』,2001,講談社
amazon.co.jp
和気 健二郎『細胞と組織の地図帳 地図帳・ナース』,2003,講談社
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山口 和克『病気の地図帳 地図帳・ナース』,2000,講談社amazon.co.jp
 世界一美しい医学アトラスだと思う、シリーズ「地図帳・ナース」。
 1冊目は解剖学、2冊目は感覚・知覚(生理的心理学)、3冊目は組織学、4冊目は病理学にあたる。チャーミングなパース(遠近法)がついた(わかりやす さ優先で、ありえない配色の)イラスト、そしてカラー図版・写真が満載。かわりにコトバ(文章)は最低限。そこがすばらしい。
 テスト前にも役に立つが、このクラスの知識は、催眠家にも必須だろう。

J.G.Nicholls他『From Neuron to Brain 4th 』,2001,Sinauer Associates Inc amazon.co.jp
E.R. Kandel, J.H. Schwartz, T.M. Jessell『Principles of Neural Science 4th』,2000, McGraw-Hill amazon.co.jp
 洋書でイラストレイテッドなものを。どちらも、図が多くてわかりやすいだけではなくて、みかけはゴツ イがそれは親切丁寧だから。英語もとっても読みやすい。
 加えてどちらもすでに第4版。進歩の速い神経科学の分野で、常にアップトゥデイトな情報を提供しようという教科書の鏡である(普通は「定説」ばかりを載 せなきゃならない教科書というものは、最新の研究から10年やそこらは平気で遅れてしまうもんだ。翻訳までかませると、さらに5〜6年遅れてしまうこと だってざらだ)。
 前者が600ページちょっと、後者は1400ページ超。情報量と分かりやすさを考えれば、決して高くはない。そんな暇も金もないって? まあまあ、図書 館でいいから、図を眺めてキャプションだけでも拾い読みしてみ。それだけでも、値段の半分くらいは元が取れるから。

脳 科学和書   脳 科学洋書

神 経科学和書  神 経科学洋書



上級篇:プロの七つ道具(催眠家ならこれくらいは)



Roberta Temes 『The Complete Idiot's Guide to Hypnosis』,1999,Alpha Books  amazon.co.jp
 いくつかの翻訳が出だした「The Complete Idiot's Guide(かんぺきなおばかさんのためのガイド)」シリーズ(「世界でいちばんわかりやすい」と直されているが、むしろ「サルでも分かる」が近いと思 う)の、催眠入門書。
 このシリーズは、つめこまれた情報量にしろ、やさしい文章にせよ、わかりやすいデザインせよ、ほんとにあなどれない。催眠についてのこの本も充実した出 来である。ずぶの素人向きというより、一応は催眠を人に施すことができるようになった人が読んだ方が得るものが多そうだ。


Michael D. Yapko『Trancework: An Introduction to the Practice of Clinical Hypnosis,Third Edition』,2003,Brunner-Routledge  amazon.co.jp

版を重ねる臨床催眠の入門書。扱う内容は幅広く、説明は丁寧でおすすめ。著者はエリクソン財団のディレクター で、かつ鬱への催眠療法で有名。


  一押し D. Corydon Hammond『Handbook of Hypnotic Suggestions and Metaphors』,1990,WW Norton & Co Inc  amazon.co.jp   (目 次映像

 その筋の間では、知らないものはいない「The Big Red Book」。
 American Society of Clinical Hypnosisの副理事長にして、ワークショップ委員長であるHammondがあつめた催眠暗示集。
 この症状/問題には、こんな場合には、こんな暗示文をつかえ、こんなメタファーを使えという、アンチョコとしても使える。英文だが、持っておくと便利。成瀬悟策氏も言ってたが、相手がトランス中なら、アンチョコを見てもいいのである。
 カバーする範囲は、ペイン(痛み)のマネジメント、催眠麻酔(手術の準備含む)、自我強化や自信つけ、不安・恐怖症、歯科催眠、癌患者のための催眠、皮 膚科のための催眠、火傷治療の催眠、急患のための催眠、免疫強化の催眠、神経科のための催眠、眼科の催眠、睡眠障害のための催眠、妊娠/婦人科のための催 眠、感情障害、対トラウマ催眠、性機能不全のための催眠、人間関係のための催眠、肥満や摂食障害のための催眠、喫煙者や依存症のための催眠、集中力をつけ る催眠、学業向上の催眠、競技者のための催眠、子どものための催眠、子どもにもどる催眠(退行催眠)、時間歪曲の催眠、などなど。およそ催眠でできる範囲 を示す,事例集でもある。
その中身は濃くて、しかも膨大。催眠の達人たち100余人が、この症状/問題には、こんな場合には、こんな暗示文をつかった、こんなメタファーを使った、 という実際に使用した暗示やメタファーが採集され、600ページにてんこもりに掲載されている。 上記のように、そのままでも使えるが、むしろ、なぜエリクソンが、ハモンドが、シュピーゲルが、ヤプコが、バーバーがなぜこんな暗示を、メタファーを使っ たのかを考えるみると、メキメキ力がつくはず。

Marlene E. Hunter 『Creative Scripts for Hypnotherapy』,1994,Taylor & Francis  amazon.co.jp 目 次映像  

 内容はタイトルがすべてを語っている。「ヒプノセラピーのための創造的なスクリプト」。あるいは暗示スクリプトを「創造」す ること(ちなみに1988年出た最初の版はDaydreams for Discovery: A Manual for Hypnotherapists というタイトルだった)。
 American Society of Clinical HypnosisのフェローであったHunterが、25年に渡り催眠スクリプトを採集して整理したもの。特筆すべきは、ページを「スクリプト欄」と「解 説欄」に分けて、掲載したスクリプトに逐語的に解説を加えているところ。なぜ、この場合はこんなコトバを使うのかを、詳しく読み解いている。つまり、Handbook of Hypnotic Suggestions and Metaphorsで あったらいいな、と思ってた解説があるということ。どの症状/問題に、どんな場合に、どのスクリプトを選ぶべきかについても、また催眠導入についても、 ページを割いている。
 200ページちょっとのコンパクトさなので、Handbook of Hypnotic Suggestions and Metaphorsほどの採集数はないが、それでもこれは必携。なめるように読むべし。実用面で 言うと、あとインデクスさえついてればなあ……。


Judith W. Rhue 他『Handbook of Clinical Hypnosis』,1993,American Psychological Association amazon.co.jp
Judith W. Rhue 他『Casebook of Clinical Hypnosis』,1996,American Psychological Association amazon.co.jp 目 次映像

American Psychological Association(アメリカ心理学会)が提供する、催眠心理療法の決定版。ハンドブックが 747ページ、ケースブック(事例集)が427ページの大著(文字もでかいが)。


『The Art of Therapeutic Communication: The Collected Papers of Kay F. Thompson』,
2004, Crown House Publishing amazon.co.jp

エリクソンの弟子の中でも最も初期から(1953年から)の弟子にして、最も才能豊かなひとりといわれた催眠療 法家ケイ・トンプソンの選集。彼女はもともとは歯科医であったが、やがては世界中で講演とワークショップを行ない、医療臨床催眠の普及に精力的に働いた。 エリクソン派の第一級のヒプノ・セラピストであった彼女の仕事がうまくまとめられている(CDで彼女の声も聞ける)。必読。


Andre M. Weitzenhoffer『The Practice of Hypnotism』,1999,John Wiley & Sons Inc amazon.co.jp 目 次映像

大名著General Techniques of Hypnotism(これとセットのHypnotism: an objective study in suggestibilityも傑作)のWeitzenhoffer本人による改定決定版。20世 紀最大最高の催眠書。そして科学的催眠の完成にして終焉の書でもある。催眠について歴史から技法から訓練法から臨床応用から裏話まで何でも書いてある。読 み通せば、否、拾い読みするだけでも、確実に催眠の腕は上がり、理解は深まる。知らないのはモグリ。




心理臨床の険しさと厳しさ




大谷 彰『カウンセリングテクニック入門』,2004,.二瓶社  amazon.co.jp
 アメリカで長年、心 理療法家の育成に関わってきた著者(日本の臨床催眠の大御所でもある)が、どんな学派や立場に立つ心理療法家であれ、当たり前の前提と して共通の基盤になっているようなこと(なので、わざわざ触れないようなこと)をまとめた貴重な本。
 ○○療法という以前 に、クライエントと治療関係を結べないまま、独りよがりな○○療法を振り回す輩が少なくない。というか、近頃とくに量産されている気がする。クライエント の「まちがった認知」を「正しい認知」に矯正してやろうとする自称認知療法家。ふさきこむクライエントが何度首を振っても「良き例外」を探させようとしつ こく強いるソリューション・フォーカスド(解決志向)アプローチならぬソリューション・フォースド(解決強要) アプローチ。もういちどロジャースから(共感と受容)やり直せ、といいたくなるようなセラピストたち。彼らはひとりのクライエントを傷つけるだけでなく、 彼/彼女がもはや一生、心理的専門家の支援を受け付けないようにしてしまう。そして心理療法そのものの期待と信用を確実に蝕んでいく。
 この本は、心理臨床でまず必要になる「クライエントを助けるための(まず最初に/そして いつも最初に必要となる基本的スキル」を順序立てて身につけて行くことができる。アメリカの心理療法家は、どんな○○療法のトレーニングを受ける前にこの 本に書いてあるようなことをこなして来ている。その上で、○○療法のトレーニングに進む。アメリカから輸入/翻訳された○○療法の本が、当たり前の前提と してわざわざ触れないようなことが、この本にはつまっている。

cool S.J.コーチン『現代臨床心理学—クリニックとコミュニティにおける介入の原 理』,1980,弘文堂 amazon.co.jp  

 この本は見つけ次第買った方が良い。
 出てくる理論や人名は、少しばかり古く感じられるかもしれないが、それでもこの本は、臨床心理学関係和書すべてのネタ本であり、臨床心理の大学院で習う ようなことは、残らず書いてある、しかもはるかにわかりやすく、更には遥かに深く書いてある、といわれる名著なのだ。
 本屋から消えて久しいが(大学の図書館でも借りっ放しになってることが結構あると聞く)、また原著の方もなかなか手に入りにくいが、どちらでもいいから 手に入れて読むこと。やがて血となり骨となることうけあい。

津川 律子 (編集), 元永 拓郎 (編集), 佐藤 進『心の専門家が出会う法律—臨床実践のため に(第2 版)』,2005誠信書房  amazon.co.jp  

 心の問題や専門家を巡る法律は、近年制定された「犯罪被害者等基本 法」や改正された「DV防止法」など、このところ大きく変わってきている。いや(ようやくにして)変わらざるを得なくなってきている。一方で、心の専門家 が心の問題を巡る制度に熟知していなければ、支援もままならぬようになってきている。自称心の専門家だけが、幾重にも無法状態に置かれているのだ。社会の 仕組みや制度は今後もっと変わっていかなくてはならないだろう。この本は、この後も改訂されていくことが期待される。手元に置いておいて改訂に合わせて買 い直すべき本。

Gerald Schoenewolf『ありがちな心理療法の失敗例101—もしかして、逆転移?』,1995星和書店  amazon.co.jp  

  この本はずっと手に入りやすい。依拠している理論や手法は、これまた少しばかり古くさく感じられるかもしれないが、それでもこれを読んでおくだけで、素 人催眠術師の素人療法の危なっかしさが(素人催眠術師自身にだって)手に取るようにわかるようになるだろう。
 症例の選択自身に、著者の「抵抗」も含まれているかもしれないということを、しっかりと告白しているあたり、心理臨床家にとって必要な自省と自制がどの ようなものか、この本を通じて学ぶことができることが約束されている。

神田橋 條治『追補 精神科診断面接のコツ』
,1994,岩崎学術出版社
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心理臨床にいどむなら、神田橋條治は全部読ん でもいい。
が、まず1冊となれば、1984年初版(この時点ですでに20余年の臨床経験が費やされている)の名著の追補版。
コツというよりは骨法、これらを体得するには厳しい自己研鑽と長い時間が必要である。


神田橋 條治『精神療法面接のコツ』,1990, 岩崎学術出版社 amazon.co.jp
神田橋條治をもう一冊。これと『 精神科診断面接のコツをかわるがわる読むこと。
熱意だけでは心理臨床はできない。やってはクライエントを余計に苦しませる。


村瀬 嘉代子, 青木 省三『心理療法の基本—日常臨床のための提言』,2000, 金剛出版 amazon.co.jp
心理臨床をやるなら村瀬嘉代子は全部読むべきだ。それでも最初の一冊 なら、対話(対論)による、心理療法のエッセンスをつかみ出したこの本から。


村瀬 嘉代子『統合的心理療法の考え方—心理療法の基礎となるもの』,2003, 金剛出版 amazon.co.jp

村瀬嘉代子をもう一冊だけ。タイトルから予想される内 容は、いまではごく当たり前の事に思えるが、その重要さはどれだけ強調してもしすぎることがない。そしてその深みは一度やニ度ではつかみ切れないだろう。 ならば繰り返し読み、考え、臨床に向かうしかない。


中井 久夫 , 山口 直彦『看護のための精神医学 第2版』,2004, 医学書院 amazon.co.jp

膨大な中井久夫の著作からはこの一冊。実にふつうのことばで「クライエントに対すること」という永遠のテーマ を、 驚くほど深く深く掘り下げ迫っている(その深さは驚愕に値するだろう)。「病む人」の苦しみと回復の経過を描き精神保健に関わる人々を静かに支え続ける力となる一冊。看 護や精神医学に関わってない人にも届くであろう、永遠の名著の第2版。


河合 隼雄『カウンセリングの実際問題』,1970,誠信書房 amazon.co.jp
膨大な河合隼雄の著作から、何か選べというならこの古い一冊。四半世紀以上前に語られた入門講義に、加筆したも の。新しい著作(文化論や文明批判やなんやかや)に引いてしまい、離れていた人にも、これなら勧められる。 河合隼雄がロジャーズを語り、面接初心者のためのアプローチを語り、カウンセリングなるものをまだほとんど知らなかった人々に、その在り方を語る。

カプラン&サドック&グレブ 編著『カプラン臨床精神医学テキスト— DSM-IV‐TR診断基準の臨床への展開』,2004,メディカルサイエンスインターナショナル;¥19,950 amazon.co.jp

 世界標準といっていい精神医学テキストの翻訳、待望の第2版(今度は全訳)。




さらに学ぶために(催眠の世界は広くて深い)



Kenneth Bowers『Hypnosis for the Seriously Curious 』,1983,W W Norton & Co Inc amazon.co.jp 目 次映像
決して新しくはないが、催眠の科学的研究をはじめるには、いまでも絶好の一冊。誰か訳してくれ。


ミ ルトン・H・エリクソン全集(邦訳)の刊行がはじまりました。  目 次、前書きはこちら
まずは第2巻
『感覚、知覚および心理生理学的過程の催眠性変 容』amazon.co.jp
です。


Milton H. Erickson ; (ed.) Ernest L. Rossi,"The nature of hypnosis and suggestion (The collected papers of Milton H. Erickson on hypnosis / ; v. 1)"(Irving ton Publishers, 1980)amazon.co.jp 目次
Milton H. Erickson ; (ed.) Ernest L. Rossi,"Hypnotic alteration of sensory, perceptual, and psychophysiological processes (The collected papers of Milton H. Erickson on hypnosis ; v. 2)" (Irving ton Publishers, 1980)
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Milton H. Erickson ; (ed.) Ernest L. Rossi,"Hypnotic investigation of psychodynamic processes(The collected papers of Milton H. Erickson on hypnosis; v. 3)"(Irving ton Publishers, 1980)
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Milton H. Erickson ; (ed.) Ernest L. Rossi,"Hypnotic realities : the induction of clinical hypnosis and forms of indirect suggestion"(The collected papers of Milton H. Erickson on hypnosis ; v. 4)"(Irving ton Publishers, 1980)
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20世紀後半から現在にかけて誰よりも影響のある催眠使いにして心理療法家ミルトン・エリクソン。あらゆる催眠 家にとって、心理療法家にとって、今も汲めど尽きぬ豊かな源泉である。これは高弟による全論文集。最も最近、未収録の新しい600ページを加えたCDROM 版の全集が出ている(Milton H. Erickson,M.D.: Complete Works on CD-ROM)。エリクソンについては、ほかにもワークショップの記 録や録音テープやビデオがある。いずれも必見。詳しくはEricksonの項を。

Alan Gauld『A History of Hypnotism』,1995, Cambridge University Press amazon.co.jp
催眠の歴史、これまでのところ完璧版。750ページを越える大著。


Judith W. Rhue 他『Theories of Hypnosis: Current Models and Perspectives 』,1991,Guilford Press amazon.co.jp (目 次

もういいかげん、右脳がどうのこうの、潜在意識がどうのこうの、言うのはやめよう。催眠の理論は、いまでも進化 を続けている。いまのところ、最も充実した催眠理論の論文集成。


Peter Brown『The Hypnotic Brain: Hypnotherapy and Social Communication』,1991,Yale University Press amazon.co.jp (目 次
我々が、粗雑にも「催眠」とひとくくりにしている現象は、いったい何がどうなっていることをいうのか。我々の脳 の活動は、あるいはコミュニケーションの有り様は、そのときどんな具合になっているのか。神経科学、認知科学から人類学まで様々なファクト(事実)をまと めて解いた、「催眠現象」の解明の書。「催眠を理解した」と言うためには。そして今催眠したりされたりしている自分や相手を理解するためにも。


そ の他催眠洋書

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