=== Reading Monkey =====================================================■読書猿は、全国の「本好き」と「本嫌い」におくるメールマガジンです。
読 書 猿 Reading Monkey
第19号 (心をおしゃれに号)
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■■松田壽男『アジアの歴史』(岩波書店 同時代ライブラリー)======■
五行を方位に当てはめると(地図にあてはまるよう、北を上にする)、
方位・五行に四神が対応する。
(北)
水 青竜−東
白虎−西
(西)金 土 木(東) 朱雀−南
玄武−北
火 后土−(中央)
(南)
ところで、中華思想の中国人は、3世紀、扶南国(現カンボジア)に行使し
た役人から、インド人が外地を呼ぶ時、神様でなく事物を当てはめていること
を知った。すなわち(インドからみた)西方は宝の多い「宝衆の地」、北方は
馬の多い「馬衆の地」、東方は人の多い「人衆の地」。
7世紀前半、唐の僧玄奘は、インドをふくめた、アジアの4区分を『大唐西
域記』で提案する。
(北)
\ 馬主の国 /
\ / この図には、区分であるが故、
\ / 中心がない。
\ / 人主の国はもちろん中国であり
(西)宝主の国 × 人主の国(東) 宝主の国がいわゆる中近東
/ \ 象主の国がインド亜大陸
/ \ 馬主の国が騎馬遊牧の民の地
/ \
/ 象主の国 \
(南)
この4区分は、2種類の「2分割」の合成からつくることができる。すなわ
ち「人文的区分」と「地文的区分」である。
「地文的区分」は、アジアを季節風地帯(湿潤アジア)と砂漠地帯(乾燥アジ
ア)に分ける。斜めに引かれた境界線には、「人主の国」と「馬主の国」を隔
てる万里の長城、「宝主の国」と「象主の国」を隔てるスライマン山脈(イン
ド人殺し山脈)が位置する。
/
万里の長城
/
(北西) / WET ASIA
乾燥アジア × 湿潤アジア
DRY ASIA / (南東)
/
スライマン山脈
/
「人文的区分」は、アジアを中洋(イスラム文化圏)と東洋(中国文化圏)に
分ける。斜めに引かれた境界線には、「馬主の国」と「宝主の国」を隔てる天
山=シル河が、「人主の国」と「象主の国」を隔て・繋げる海洋が位置する。
\
天山=シル河
\ 東アジア民族
\ (北東)
中 洋 × 東 洋
(南西) \
西アジア民族 \
海洋
\
この海洋世界は、やがて香料の交易でもって、アジアを「世界史」に開いてい
く「香主の国」でもある。
元は日本放送出版協会から出ていて絶版だったのが、岩波の同時代ライブラ
リで復活した。
図はおもしろいのだが、内容の方は実際に読んでみるとけっこうがっかり。
■■くるくるパティオ編『読書猿』(発行:まぐまぐ)===========■
私は普段ほとんど雑誌を買わぬし読まぬ。今のところ愛読しているのは唯一
『読書猿』といふ雑誌である。もつとも、これは別に買いに行かずとも向こうか
ら送られてくるから便利だ。
名前の通りに本についての雑誌、と、ひとまずは言へさうであるが、そこは
「猿」であるから、単なる書評というのではすまない。だいいち、書評という
には情報が足りない。つまり、そこに何らかの下心があるよなないよな、うつ
ふん、なのである。
取り上げている本の選択にも意図があるよなないよな、あつはん、なのであ
る。漏れ聞くところによると、二、三人、せいぜい五、六人の常連寄稿者が原
稿料もなしに書いているとのことであるが、それにしてはジャンルというもの
が多岐に亙るやうな気もするし、それにもかかわらず、非常に狭い範囲で動い
ているやうな気もするのである。
唯一明らかなことは、「ふざけている」ということだけである。
■■河合塾編著『学問の鉄人 大学教授ランキング 文科系編』(別冊宝島322)■
知り合いによれば、アンケートが送られてきて、その趣味の欄に「レゲエ」
と書いたら載ってしまったのだそうだ。
中身は単に名前の羅列。これだったら浅羽の『ニセ学生マニュアル』(徳間
書店)の方がまだまし。もっともあれは、あらかじめ本屋やテレビで学者の名
前を知ってないと読めない本だった。それでいくと、『学問の鉄人』は、名前
さえ知らない人が読むのだろう。ただの「名前リスト」でも意味があるわけで、
「ああ、学者もいっぱいいるなあ」とか。
こんなもの作るくらいなら、『学者のお仕事 御用学者ランキング この学
者は誰のために口をきいているか、誰に金を貰っているか』なんてのの方が、
「学者が今何をしているか」についてはよりアクチュラルだし、本としても実
用的だろう。「リクルート株もらって、日本にいれなくなって、今アメリカに
留学してる経済学者」だとか、「『ラドン温泉入ってプロトニウムを飲んでみ
せる』と豪語した核物理学者」だとか、「湾岸戦争に感動して日共から転び、
今は生長の家の事務所の2階で教科書を作り替える運動をやってる教育学者」
だとか、愛すべき学者はいっぱいいるではないか(しかもよくマスコミやらお
茶の間に登場していて知名度も高い)。最近はホームページを持ってる人も多
いから、「御用学者リンク集」というのを作るのも楽しそうである。その節
は、リンクを快諾していただくようお願いしたい。
■■えのきどいちろう編『井上陽水全発言』(福武書店)==========■
書中『いまの若い人はふぬけです』より引用。
|(陽水さんは若い頃、自分はふぬけだったと思いますか?)
|これはもう完全にあれですよ、例えば僕らの親から言うと僕らは
|ふぬけですよね。ここから横浜まで歩くなんていったら、えーっ
|なんて言いますからね(笑)。つまり、僕らの親にとってはそれ
|は日常だからね。もっとさかのぼると浪花まで、なんつって、
|ええっ汽車で行かないんですか、なんて。歩きだ?ふぬけだなぁ
|なんつって(笑)。
|
|今だって、あの、ひょっとすると時代がふぬけを要求してんのかも
|しれないですね。あの、何ていうの、話は少し大きくなるけどさ、
|日本中がふぬけだったら自衛隊送ることもないわけだ、ま、
|送れないって感じで(笑)。そういう送らない方がいいんじゃないか
|って事、あり得るもんね。つまり、日本が世界に、こう、範としてさ、
|ふぬけ同盟かなんか(笑)。もう、やれないんだと。銃を持てないと、
|危なくて(笑)。そういう時代は若者にふぬけを要求してるのかも
|しれないですね。ま、そういう角度から見ると立派な若者が揃って
|るよね。今、確かにね。
|それにしても第一印象はやっぱりふぬけだなぁなんて思うね。
陽水さん、いいっす(笑)