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           読 書 猿   Reading Monkey
            第74号 (生まれくる子供たちの号)
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■読書猿は、全国の「本好き」と「本嫌い」におくるメールマガジンです。
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 ■読書猿は、本についての投稿をお待ちしています。


■■無着『やまびこ学校』(岩波文庫)================■

@:「おひかりさまがムラに入ってきて、おひかりさまに入らないと昭和27
年にみんな死ぬといってるがほんとうだろうか」って詩がある(笑)>やまび
こ学校
*:うはは(笑)
#:(笑)
$:ひー(笑)
@:で、子供たちが、みんなではなしあって、おひかりさまについてのビラを
張ることにするんだね、村中に。
?:するんだね、じゃないだろ(笑)
@:「おひかりさまのことが私たちの学級でもんだいになりました。おひかりさ
まにはいると肥料をいれなくても、米ができるというのはほんとうでしょうか」
#:ビラには質問が羅列してるわけ?
?:それ、ひどいというより、まずいんじゃないのか(笑)>おひかりさま
@:「それがほんとうだとすると、八貫目の炭を背負っても、おひかりさまに
入っている人は、ほかのひとよりもかるくなるんじゃないかということでみん
な笑いました。」
@:「かぞえてみると、山元村では30人入っているようです。一人で一万円
以上かかるそうです。30万円もおひかりさまの札をかったことになります。
山元村の今年の学校予算は146623円です。」
#:146623(笑)
#:いいねえ(笑)
?:それ、落とし前はつけてくれるんだろな(笑)
@:「こういうふうに比べてみて、このおひかりさまのことについては、村の
人はもっと考えてみなければならないのではないでしょうか」(山元中学校自
治会決議)
@:だって(笑)
*:だって(笑)
#:くー
%:だってって(笑)
@:いや、全面的にどこよんでもすごいんだよ(笑)
%:それなら冒頭が似た話を知っている(笑)
%:「豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃、琵琶湖のほとりに金目教という妖
しい宗教がはやった」(笑)
@:爆笑
%:「金目教を信じない者は妖しいたたりにみまわれるという」
%:でどうしたかというと(笑)、「木下藤吉郎は飛騨の里から仮面の忍者を
よんだ」(笑)。


■■『建築教室---生きのびる子供たちのために』(INAX出版、1997)===■amazon.co.jp

 自分がいま《置かれている》場所だとか環境なんてことは、自分にはどうし
ようもないことだという考えが広く蔓延してる。
 その一方で「環境問題」だとか「まちづくり」だとか、何とかしようがある
んじゃないか、少しでも何とかするにはどうしたらいいのか、といった気運も
盛り上がってきている。
 雨や風を自由に変えることは人間にはできないけれど、雨風を避けて生活を
営むことはできる。人間が最初に作った人工環境は多分、シェルター(隠れ
家)とでもいうべき掘立て小屋みたいなものだった。シェルターは、ありあわ
せの材料をつかって、すぐに作れる。でないと、差し迫った必要に間に合わな
いからだ。大工も建築家もいらない。道具も、仮に必要であっても、簡単なも
ので構わない。たとえば、子供の時につくった「秘密基地」、あれこそまさし
くシェルターだった。
 人間と環境の関係を考えるには、100のリクツより手を動かして、自分で
自分の環境をつくってみるのが一番だ。それが「人間になる」最初の一歩であ
ることは、歴史だって教えてくれる。
 この本には簡単なものから今も実際に使われてる本格派までいくつかのシェ
ルターが登載されている。しかも今日にでも始められるように、設計図という
か「型紙」つき。幸い、明日は日曜日だ。燃える。


■■長新太『ごろごろ にゃーん』(福音館書店)==============■amazon.co.jp

 人に頼まれ5冊買った。

>三輪:たとえば『もこもこ』にしてもそうだけど、親は買ってくれないよ。教育熱心
>   な親は買わないよ。でも、子どもに読んでやるとすごく喜ぶじゃない。1280円
>   も出して、ただ「しーん」とか「もこ」とか「もこもこ」、これだけって大人
>   はわからないんだよな。長さんの作品にも、こういう部類の作品がある。
>岩間:みんなの店はどうかわからないけど、長さんの絵本て、当初はそんなに売れな
>   かったでしょう。
>増田:僕、『ごろごろにゃーん』が好きで、いっぱい仕入れたんだけど、すごく時間
>   がかかった記憶があるの。子どもは喜ぶんだけど、お母さんが買わない。それ
>   は、色が地味で、教育的配慮が何もないから。でも、子どもは無類に喜ぶ、こ
>   ういう例が、20年ぐらい前にはいっぱいありましたよね。『もこもこもこ』
>   なんかでも、「これがわかる保母さんはいいよね」なんていいかたを平気でし
>   ていましたからね。
>三輪:長さんの作品、『キャベツくん』あたりだって、何が書いてあるか大人にはわ
>   からない。「ブキャブキャ」の繰り返しだ。でも、あれ、実際に子どもたちに
>   読んでやると目の色が変わるんだよね。ブキャーと言ってめくってやると大喜
>   びするわけですよ。そこら辺りの、大人と子どもの違いみたいなものというの
>   はあるね。やっぱり絶対ある。
>                    (絵本ジャーナルPeeBoo No.26)

 全然関係がないのだが、この5冊のうち1冊を読んだうちの父親は、
「東京に住んでた頃、近所にアンパンマンの作者がいた。書く話がぜんぜん売
れないという話をしてた」
という話を勝手にはじめた。
「どういう話ですか?と聞いたら、『正義は勝つ、というのを書きたいんで
す』と言ってたから、結構な話だと思った」

 それでアンパンマンなのである。


■■岩波文庫編集部編『私と岩波文庫---忘れえぬ一冊---』(岩波書店)===■
                ・・
 そればかりが原因ではないが、「読書猿」を長い間作る気になれなかった理
由にこの小冊子に納められた一編がある。はっきりいって反則だが、その理由
を述べるために引用してみたいと思う。


>    忘れえぬ一冊---『仰臥漫録』
>                     神奈川県 安田恒夫
>                     (六十七歳 元自営業)
>
> 私の父は明治20年生まれで無学文盲だった。その父が唯一に持っていた本
>は岩波文庫の『仰臥漫録』でその本は昭和二年の初版本で現在の文庫より縦が
>やや長く、表紙の題字は右書きである。父は無論和歌も俳句も、その本が如何
>なる本かも知らない。
> 「お前達、何にも知らんなア、絵が面白いじゃないか、ソラ、この蛙よく描
>いてあるワ」といって楽しそうに幾度も眺めている。『仰臥漫録』、今でこそ
>知っている本であるが、当時小学生であった私達兄弟は知るよしもない。また
>父に聴いて分る事でもなかった。私が中学受験の時、父はその本をお守りにな
>るから持っていけという。何のつもりか知らないが持参した。その後、弟の受
>験の時も同様であった。思い出してみると、私達は父に勉強しろ本を読めとい
>われた記憶がない。しかし、国家試験のような時に、決ってこの本を持ってい
>けという。不思議とパスする。やがてこの文庫は私達兄弟のお守り的存在に
>なった。
> 『仰臥漫録』に触発されたか、その後岩波文庫を買い集め現在500冊、兄
>は緑と赤帯専門で300冊程蔵書した。その兄が昨年他界して蔵書を譲り受け
>て800冊。その中から私の忘れ得ぬ一冊を選ぶことは、鬼子母神の一子を奪
>うより至難の業である。何故なら好きで集めた宝玉の愛読書である。恐らくこ
>れから先、生涯かけても唯一冊の本を選び出すことは出来まい。総てが思い出
>の文庫である。思い出を書けば500の話が出来る。それはまた私の自叙伝的
>存在でもあるからだ。
> ある日、父に何故『仰臥漫録』を買ったかと聴いた。
>「居酒屋で一杯飲んでの帰り、煙草を買った釣銭でこの本を買ったのサ、あの
>頃は何でも安かったなァ」
>といった。その父も生涯で唯一冊の思い出の文庫を残して去(い)ってしまっ
>た。

     ・・
 もはや「読書」だなんて生温い話ではない、ひれ伏すしかないと思った。


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