結合通信 20:


親愛なるおじさまへ

私が学園でどんな事を学んでいるか、お伝えするのをすっかり怠けていました。
もちろんさぼってた訳じゃないの。
数学(mathematica)も「楽理」の他に、幾何学→大域幾何学(糸と棒をもって測量する)/射影幾何学(石工の幾何学、図面引き)数論→整数論・体論(今時の暗号術には必須)天文学→周期天文学/驚異天文学と3つも取ってるし、「計算親方」の方もいま出されてる「謎かけ」が解ければ、晴れて「仮免状」がもらえます。
「綴り方」の授業では、「実用文」の書き方を習ってます。「実用文」というのは、何かの目的で書かれるもので、書くこと自体はそれほど難しくありません。難しいのは「実用文」でもって、その目的を達成することです。お金を借りたいときに、「お金を貸しておくれ」と書けば「実用文」ですが、それで本当にお金が借りられるかどうか分からないからです。
「実用文」は、A.事を記するもの、B.事を説くもの、C.意を伝えるもの、D.情を訴えるもの、それら4つあるいは3つあるいは2つの混合、のいずれかです。「綴り方」の授業で学ぶものは、1. 歴史(記憶)書、2. 命令(書)、3. 民俗誌(エスノグラフィ)、4. 法典、5. 法理解釈、6. 方程式、7. 評論弁難、8. 判決文、9. 博物誌、10. 日記、11. 伝票・簿記、12. 政見主張、13. 追悼文・弔辞、14. 神話、15. 上申書、16. 証書契約書、17. (化学の)分子式、18. 宗教勧誘、19. 手紙、20. 自叙伝、21. (測定された)宇宙、22. 経典釈解、23. 契約、24. 儀軌、25. (数学の)証明、26. 楽譜、27. 科学論文、28. 応用弁論、29. 往復文書、30. 遺伝子、31. 暗号、32. (料理の)レシピ、33. チューリングマシンのテープ、34. シナリオ、35. うらない、36. (コンピュータの)プログラム、……などがあります。
どうです、さぼってた訳じゃないでしょ。
そうそう、サリーはロープワークが高じて、とうとう結び目で「言葉」を作りました。
なんと計算もできるのだそうです(それも星の動きとか複雑な奴も)。今では彼女は(細長い)ロープで日記をつけてます。もっときわめて、卒業制作(私たちは一かたまりの百科事典をつくらなくてはならないんです)はこれでいくとのこと。すごく長いロープを何本も束ねたやつになる予定。









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