結合通信 10:

おじさんへ

今日も一日(授業をほっぽり出して)子牛を見ているつもりだったけど、おせっかいな先輩(実はあの若先生です)が、「測量術は出ておいた方がいいぜ」と耳打ちしてくれたので、午後はそれに出ました(若先生、「授業なんか出るより、こっち(作業のこと)の方がよっぽど多くのものが得られる」なんて嘘ぶいてた癖に、どういう風の吹き回し?)。
 授業は簡単な測量器具の使い方の説明の後、ペアを組んでいきなり実地練習です。アルファベット順で、というので私の相棒はフィールドワークには最強の味方、ジュリア!

                        月曜日


測量術の成果-おじさん、今日は私たちの学園がどんなところなのか、前より詳しく報告できそうです(昨日は測量結果をまとめるのに一晩かかりました)。
 まず私たちの住んでいる丘は思ったよりずっとデコボコしています。本校舎のある丘のてっぺんは、概ね平らですが、それでもこぶが三つあります。温室のある南の斜面も、肩のように盛り上がったとこの他に目立たない隆起と陥没がたくさんあります。校舎の北から東にかけては、森になっています。ちょうど丘越えする寒い冬の風が、居住区に吹き込まないようになっているそうです。
 学園の周りにはあちこちに大きさの違う溜め池がたくさんあります。池はもちろん学園ができてから作ったもので、水とエネルギーを貯えるためのものです。水を流すと落差のエネルギーで物が運べたり、道具が動かせたりできます。例えばいくつかの池には地下の埋められたパイプに水がいくようになっていて、それは畑やハーブ園の近くを通ります。パイプから水が染み出るようになっていて、私たちが水撒きするのを助けてくれるのです。そのために、池は普通なら水の溜らない高い場所に人工的に作られています(池の場所が変だというのはジュリアが見つけました。そしたら果してそのとおりだった訳)。そういうさまざまな目的を考えると、池はすごくうまく配置されています(なるほど、測量術は技術を身に付けるだけじゃなくて、「謎解き」になってるんだ)。

                        水曜日








目次へ
inserted by FC2 system