行動ABC分析

別名パフォーマンス・マネジメント
用途望ましい行動の増加

望ましくない行動の減少

用例
使用法1.まず、増やしたい、または、減らしたい行動(以下では、まとめて「ターゲット行動」という)が、どの程度の生じているかを数える。

 2〜3日に1回程度の行動なら、見開きの週間スケジュールに、生じた時間のところにチェックマークをつけることで記録できる。

 1日に何度も生じる行動なら24時間×12マス(1マスあたり5分間)、1時間に何度も生じる行動なら5マス×12マス(1マスあたり一分間)と、大きめの方眼紙等を使って、マス目を作っておき、行動が生じたらチェックを入れるやり方で記録できる。

2.つぎに、「ターゲット行動」の前後に注目してよく観察する。

 紙を横に3つに分けて、左側の欄に「先行条件」、真ん中の欄に「行動」、右側の欄に「結果」と書き入れる。

 真ん中の「行動」欄には、増やしたい、または、減らしたい行動を具体的に書く。

 左側の「先行条件」の欄には、「ターゲット行動」の前に、行動者の周囲の状況はどうなっているかを書く。

 右側の「結果」欄には、行動の結果(行動の後に)、行動者の周囲で何が起っているか、とくに周囲の人はどう反応しているか、を書く。

 つまり、この紙に書くのは、「〜の場合に」:先行条件、「〜したら」:行動、「〜になった」:結果という行動と環境の変化との関係である。

3.目標は、「ターゲット行動」を増やすこと、減らすことである。

 先行事象(A)-行動(B)-結果事象(C)。

 人の行動にはその行動を引き起こすきっかけAがあって、そのきっかけから行動Bが引き起こされ、その結果として何かCを得ている。

 一般に、行動の後、報酬にあたる結果を得れば、その行動は増えていく(少なくとも以後も繰り返し行われることになる)。逆に、行動の後に、報酬に当たるものが失われたり、避けたい結果が生じたりすると、その行動は減っていく(やがては消えていく)。

(1)望ましくない行動の後に、罰を与えたり叱ったりするのは、C:結果の部分に介入していることにあたる。罰せられたり叱られたりすることは、一般に「避けたい結果」なので、これで望ましくない行動は減ると期待される。少なくない場合でそうだが(我々の多くは、このタイプのしつけを受けてきている)、逆に行動が減らない場合がある。(a)これは罰する、叱るということが、相手に「注目される」という報酬を同時に与えているからである。注目に飢えた子どもの場合、あえて問題行動を起こすことで注目を得ることがある。この場合は、叱れば叱るほど問題行動が増え(強化され)、ますます叱らなければならず、ますます問題行動が増える、という悪循環に陥る。

(2)実は罰などの避けたい結果(嫌悪的な結果)を用意することで、行動Bを減らそうとすることはいくつか問題がある。罰はいつでも実施可能でない。隠れて行われた問題行動は罰される可能性がその分低い。目についた問題行動だけを罰し、隠れた問題行動を罰しないならば、目についた問題行動は減るが、隠れた問題行動は逆に増えることが予想される。

(3)結果Cに介入するよりも、先行事象Aを変えた方がターゲット行動の増加/減少を達成しやすい。いわゆる「環境を変える」ことだが、これならあらかじめ問題の発生を減らし、諸刃の剣である叱るなどの嫌悪的結果を用いる必要が減る(叱ることは、叱られる側だけでなく、叱る側にとっても相当なストレスとなる。使わないに越したことはない)。

解説ABC分析は、あらゆる親ワザの基本にあるもので、多くのワザはこの分析を通じて開発されたものである。

そこに増やしたい、または、減らしたい行動があって、ABC分析を用いるならば、既製品でないオーダーメイドなオリジナルの親ワザを開発できるだろう。

詳しくは、参考文献を参照のこと。様々なシーンで、どのように分析し、現実に用いるかの事例と丁寧な解説がある。

参考文献『パフォーマンス・マネジメント—問題解決のための行動分析学』,島宗 理 (著)価格: ¥1,700,出版社: 米田出版 ; ISBN: 494655307X ; (2000/03)


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