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第三世代行動療法を学ぶための文献リスト


第三世代行動療法について,登場の背景や基礎理論を学んだり、治療の実際を知るマニュアルやセルフヘルプ本など、関連書籍を集めてみました。

(※現在作成中の 第三世代行動療法のサイトが完成し次第、このコンテンツはそちらへ移ります)


 



マインドフルネス&アクセプタンス—認知行動療法の新次元

S.C. ヘイズ, M.M. リネハン, V.M. フォレット (編著)

 アクセプタン ス・コミットメント療法(ACT)、機能分析心理療法(FAP)そして弁証法的行動療法 (DBT)などの、第三世代行動療法の主唱者や研究者が、第三世代行動療法のメッカとなった感のあるネバダ大学ネロ校に 集ったカンファレンスからできた本。第三世代行動療法の原理と広がりを概覧できる。
メイザー『学習と行動』

メイザーの学習と行動

ジェームズ・E.メイザー(著)

 研究の蓄積ともに繰り返し改訂されてきた学 習理論(Learning Theory)の有名テキストからは、古典的条件付けやオペラント条件付けについての最近の研究ともに、例えば反応遮断化理論や至高点(Bliss Point)の概念、行動調整理論(Behavior Regulation Theory;我々が強化と呼んできた過程は実際には何かひとつの反応を強めていたのではなくむしろ環境が強いている制約に適応すべくそれぞれの行動に費 やす時間を再配分している)、刺激等価性、マッチングの法則や瞬時最大化理論、自己制御における選好の変容を説明するAinslie−Rachlin理論 などの、第一世代の行動療法が手にすることのなかった知見を学ぶことができる。



Learning and Behavior Therapy

William O'Donohue(編著)
 未だ5、60年代の古き良き学習理論だけを後ろ 盾にしている行動療法家,あるいは行動療法をそうしたものだと高をくくっている心理療法家はこれを読むべし。第三世代行動療法は、ただ東洋の瞑想からマイ ンドフルネスを借りてきたのものじゃない。「認知」その他をどん欲に取り込み適応範囲を拡大したものの、実験的な基礎研究との緊張感ある相互作用を失った 第二世代行動療法(認知行動療法)に対して、その間にも発展していた学習理論と再び臨床との間に密接な関係を結び直したものでもあるのだ。



Verbal Behavior

B. F. Skinner (著)


 言語を,思考を,そして認知を,「言語行動」と して取り扱い解明するラディカルな枠組み,そして果敢な試み。第三世代行動療法へつながる道筋はここから始まった。


Rule-governed Behavior: Cognition, Contingencies, And Instructional Control

Steven C. Hayes(編著)
「認知」など媒介変数の安易な導入に同意しない行 動分析の伝統は、言語行動についての理論からこのルール支配行動へと「見えない行動」についての知見を蓄積してきた。この書の編者がACT(アクセプタン ス・コミットメント・セラピー)と、その基礎理論である関係フレーム理論の開発者であるのは偶然ではない。1989年刊行のこの書は、近年必要の高まりの 中で復刊された。

Behavior Analysis of Language & Cognition
Behavior Analysis of Language & Cognition: The Fourth International Institute on Verbal Relations (International Institute on Verbal Relations)

INTERNATIONAL INSTITUTE ON VERBAL RELATION(編)
 はっきり言えば、第三世代行動療法は、認知療法 と行動療法の野合からではなく、言語行動や認知についての行動分析の伝統から生まれた。
 このカンファレンスの記録は、第三世代行動療法の誕生の背景を明らかにする。


Acceptance and Change: Content and Context in Psychotherapy

Steven C. Hayes, Neil S. Jacobson, Victoria M. Follette, Michael J. Dougher (編集)

 アクセプタンスの原理・方法、文脈主義のアク チュアリティと心理療法の関係とを示した第三世代行動療法の理論的源泉のひとつ。


Varieties of Scientific Contextualism

Steven C. Hayes(著)
 何でも言えるが故に意味のあることは何も言えな くなる相対主義に堕ちることなく、文脈なるものを科学に持ち込もうという挑戦。この延長線上に、ときに機械的になる行動分析が、環境主義的・文脈主義的に 脱皮する機会がある。そしてそれは関係フレーム理論の萌芽でもある。


Relational Frame Theory: A Post-Skinnerian Account of Human Language and Cognition

Steven C. Hayes(著)
 そして「関係フレーム理論」の登場する。ただ ACTの背景理論であるだけでなく、言語活動や認知過程を扱える、ポスト・スキナリアンな行動分析理論の登場である。


Cognitive Behavior Therapy: Applying Empirically Supported Techniques in Your Practice

Jane E. Fisher, Steven C. Hayes, William T. O'Donohue (編著)

 タイトルは、単なる「認知行動療法 Cognitive Behavior Therapy」だが、系統的脱感作からタイム・アウト、エクスポージャ&反応妨害からアクセプタンスや認知的デフュージョン、マインドフルネス、アー ジ・サーフィング(Urge Surfing)まで、第一世代から第三世代まで行動療法のあらゆる技法を扱い、そのうち有効であるとの証拠(エビデンス)があるもの60を厳選し各章で 詳述する。

Acceptance and Commitment Therapy: An Experiential Approach to Behavior Change

Steven C. Hayes(著)
 認知療法のベック以来、新たな心理療法は、その マニュアルが整えられた時、実質的な意味で「誕生」することになる。主唱者以外の臨床家が使えるようになってこそ、真に客観的な効果研究が可能となり、実 効性がパブリックに証明できるからだ。このACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)の最初のマニュアル以降、多くの適用と追試研究が行われる ことになる。
A Practical Guide to Acceptance & Commitment Therapy
A Practical Guide To Acceptance And Commitment Therapy

Steven C. Hayes , Kirk D. Strosahl , Arthur C. Houts (編集)
 こちらのACT(アクセプタンス・コミットメン ト・セラピー)の治療ガイドも(否、今ならこちらの方こそ)、まずは必携の書。
 理論的基礎から入門的紹介、ACTの治療アセスメント(ケース・フォーミュレーション)、そして様々な障害ごと、対象者ごとに治療の実際を解説する。

アクセプタ ンス&コミットメント・セラピーの文脈—臨床行動分析におけるマインドフルな展開


武藤 崇 (著)
 日本語によるACT(アクセプタンス・コミット メント・セラピー)の紹介・解説書。の哲学・理論(機能的文脈主義;関係フレーム理論、言語行動・刺激等価クラス、関係フレーム)から、実際の治療の手続 き(アセスメントやケース・フォーミュレーション)、その適用例(不安障害に対するACT;痛みに対するACT他)、さらに機能分析心理療法(FAP)や 森田療法との対比についてまで論じて余すところが無い。


〈あなた〉 の人生をはじめるためのワークブック—「こころ」との新しいつきあい方アクセプタンス&コミットメント


S.C.ヘイズ (著), その他
 
 痛みや不安を回避することは、痛みや不安を大きくする。このことは多くの実験や、多くの臨床経験で、繰り返し確かめられている。

不快なものを避けることは生物として当然のことだ。不快なものは、おそらく生命や生活に対する危険とつながりがある可能性が高く、不快なものをさけることは、危険を避ける可能性を、そして生物が生きのびる可能性を高める。おそらくは、不快なものを避ける仕組みを持った生物(そうした仕組みをもたらす遺伝子)が進化を通じて生き残ってきたのだろう。我々もそうした生物の子孫、不快なものを避ける仕組みを持った生物である。

ヒトが暮らす環境は、かつて進化が進んだ環境とは、かなり異なってしまった。そこでは不快なものは生命の危険との結びつきは必ずしも強くない。たとえば我々が不安障害と呼ぶものは、危険でない不快なものを過剰に回避させることを含んでいる。最初は小さな不快さであったものが、それを回避しているうちに、ますます不快の大きさが増していく。そしてますます不快となり、ますます回避していく。この悪循環のために、症状は維持され強化され、その人の生活範囲はどんどん縮小していく。「不快なものを避ける仕組み」が働きすぎる故に、人はおよそ合理的な範囲を超えて、不潔さを回避し、不安を回避し、不安を回避するための儀式を際限なく繰り返すことになる。

もうひとつ、ヒトは言葉を持ってしまった。言葉は、様々な体験を結びつけ、再構成する能力をヒトに与えた。人は外界を理解し、予測し、それを別のヒトに伝えることができるようになった。すばらしいこのヒトの能力は、しかし「不快なもの」に関しても、同様に働く。ヒトは、直に不快なものを体験しなくても、言語能力を通じて、体験していないものについてまで、外界の解釈からも、未来の予測からも、外のヒトからの伝達からも、不快さを味わう能力を持ってしまった。

アクセプタンス・コミットメント・セラピーは、上記のような実験的にも臨床的にも確かめられた知見に基づいて組み立てられている(認知療法は、わかりやすいが、その実、根拠はいまいち不確かだった)。不快さを回避することで強大化させないためのスキルは(何もせずにほっておけ、なんてとんでもない)、一部は行動心理学や行動分析の知見や技法から、一部は仏教の修行法であるヴィパッサナーから心理療法に取込まれたマインドフルネスと総称されるテクニックから、得られている。解釈し、予測するヒトの能力を休ませて、今現在起こっていることのみに注意を向け、観察する。それだけでも、ヒトは不快さとの追っかけっこを止め、扱えるだけの大きさのものとつきあい方を学び始めることができるのだ。

ブッダの教えに従っても、死者は生き返らず、病いも消え去らない。だったら何の意味があるのか、と問われてブッダは「二の矢を受けず」と答えた。一の矢、自分や家族やその他あらゆるヒト、生物の死も、病いの苦しみも、は消え去ることはない。けれど、二の矢、苦しみについて苦しむことは、やめることができる。アクセプタンス・コミットメント・セラピーは、死んだヒトを生き返らせたり,別れた恋人を戻って来させたりはできない。けれど、そうした悲惨や不快について苦しめられることを避けて,苦しみを自分のできる範囲で取り扱う、そうしたやり方のひとつを教えてくれる。

精神療法のセルフヘルプ本として登場以来、圧倒的な 売上を記録し、米Amazonでは一時ハリー・ポッターさえ上回ったGet Out of Your Mind & Into Your Lifeの翻訳がついに登場した。認知療法の普及がバーンズのFeeling Goodによるところが大きいように、ACTも普及はこの本にかかっている?(?)。

基本的にクライエントのためのセルフヘルプ本だが、これまたバーンズのFeeling Goodが認知療法家に汲めど尽きぬ治療介入のアイデアの源泉になったように、この書もまた、ACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)を実施しようとする治療者に参考になるところ大かつ多数。

Learning Act
Learning Act: An Acceptance & Commitment Therapy Skills-Training Manual for Therapists

Jason B. Luoma, Steven C. Hayes, Robyn D., Ph.D. Walser (著)

 こちらは治療者向けのワークブック。DVD付き。

 本格的に取組みたい人には、つぎのDVDシリーズがある。技法ごとに治療過程を詳細に呈示し解説してくれる。6 枚セットならこれくらいの値段で入手可能。アメリカに渡ってワークショップを受けることを考えるなら格安か。


機能分析心理療法—徹底的行動主義の果て、精神分析と行動療法の架け橋

R.J.コーレンバーグ,M.サイ (著)

 スキナリアンの行動分析は、フロイト以来の精神 分析の対極に位置づけられてきた。
 今、行動分析の発展は、転移と逆転移と呼ばれてきた治療関係とそのプロセスに焦点をあてる臨床行動分析を生み出した。認知療法がいう「認知」もまた、治 療関係という文脈に位置づけられて(つまりクライエントの頭の中だけにあるものとはされずに)取り扱われる。
 精神分析や認知療法を丸呑みするほどに磨かれた、徹底的行動主義の心理療法が誕生した。


境界性パーソナリティ障害の弁証法的行動療法—DBTによるBPDの治療

マーシャ M.リネハン(著)

 弁証法的行動療法の基本書である "Cognitive-Behavioral Treatment of Borderline Personality Disorder"の邦訳。境界性人格障害(BPD)や自傷行為などに対して著しい治療効果を上げ、BPDについての病態観、治療観にも変更を迫るもの。


弁証法的行動療法実践マニュアル—境界性パーソ ナリティ障害への新しいアプローチ

マーシャ M.リネハン (著)
 弁証法的行動療法のもうひとつの基本書。治療構 造,各種ストラテジーの手順とトレーニングへの適用,各セッションへの導入と進め方に始まり,身につけるべきさまざまなスキルについて、実践で使えるよう にトレーニングしていくか,その具体的な道筋までが段階を追って詳述した、実践的なマニュアル。

自傷行為と つらい感情に悩む人のために—ボーダーラインパーソナリティ障害(BPD)のためのセルフヘルプ・マニュアル


ロレーヌ ベル(著)

 弁証法的行動療 法のセルフヘルプ本。ほとんどの章が、うつや摂食障害、自傷行為や怒りの問題など、境界性人格障害の人が直面するであろうさまざまな問題と、その問題を克 服するためのスキルの内容、ならびにそのスキルを身につける方法の説明に割かれている。



マインドフルネスストレス低減法

J.カバットジン(著)
 マインドフルネスの発想/技法は多くの第三世代 行動療法を通じて取り入れられていったが、これはマインドフルネスを初めて導入したカパットジンによるマニュアル。マインドフルネス瞑想法は痛みやストレ スを判断せず我慢せず取り除こうと努力することもせず、観察し受容することを旨とする。  


マイ ンドフルネス認知療法—うつを予防する新しいアプローチ

Z.V.シーガル (著)
 マインドフルネス瞑想法と認知療法を結びつけた もの。認知の変容を目指す認知療法に対し、非機能的な認知も悪感情もそのまま受け止め流していくマインドフルネス。第二世代と第三世代の分水線がここにあ る。

10分間瞑想健康法—日々の不安・うつ・パニックがとけていく

ジェフ・ブラントリー(著)
 なんともすごいタイトルだが、マインドフルネ ス・ストレス低減プログラムのまっとうなセルプヘルプ本。創始者ジョン・カバットジンが序文をつけている。



うつのセルフ・コントロール

ピーター・M. レウィンソン(著)

 BA(Behavioral Activation:行動活性化法)についての数少ない邦訳。ただし第一世代。行動面だけに介入する行動活性化法は認知療法の流行で一時は衰退したかに 見えたが。。。

Depression in Context: Strategies for Guided Action

Christopher R. Martell
(著)
 しかしうつの認知行動療法の効果研究では、行動 的介入に認知的介入を付け加えても付け加えなくても効果が変わらないという結果が。行動活性化法を復活させた研究書。

Overcoming Depression One Step at a Time: The New Behavioral Activation Approach to Getting Your Life Back

Michael E., Ph.D. Addis, Christopher R. Martell (著)

 そして、これは新しい世代の行動活性化法のセル プヘルプ書。コラム法などの難しい認知変容にとりくまなくても、あべこべ行動やスケジューリングなど、すぐに取組めて、すくなくとも認知療法と同程度の効 果がある。


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