認知行動療法認知療法の道具箱(ナット&ボルト)

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認知療法認知行動療法の紹介

認知療法認知行動療法については、すでに多くのサイトで紹介されているので、こ こではごく簡単な紹介をします。
疾患別のやや詳しい解説を別に設けました。興味ある方はそちらもご覧下さい。


認知療法の考え方

 認知療法の「認知療法たる」ところは、人間の感情や行動を考えるのに、「認知 cognitive」の働きを外して考えないところです。
 ひどく簡単に言えば、人間は、
と、認知療法では考えます。

出来事→感情・行動
出来事→思考・認知→感情・行動
出来事や外部の刺激によって、感情や行動が引き起こされる。
出来事や外部の刺激を、どのように捉えるか(認知)・考えるか(思考)によって、感情や行動は変わってく る。

 抑うつといった「感情」や、恐怖症における回避といった「行動」も、例外ではなく、したがって思考・認知のパターンを変えることで、問題となっている感 情や行動を変えようというのが、もともとの認知療法のアプローチです。わかりやすいですね。

認知行動療法となった近年では、

 
認知を変えることは、行動、感情、生理(状態)を変えることに、
行動を変えることは、認知、感情、生理(状態)を変えることに、
感情を変えることは、行動、認知、生理(状態)を変えることに、
生理(状態)を変えることは、行動、感情、認知を変えることに、
それぞれつながると考えられ、認知的手法、行動的手法、感情的手法(エリスのREBTに多いですね)、生理的手法(呼吸法などのリラクゼーション法、あ、 薬物療法もそうか)が、適宜用いられます。

認知療法のやり方

 もちろん「問題」は持続したり繰り返し起こったりしているはずですから、そのもとになっている思考・認知のパターンも、変えようとしてもなかなかガンコ でしょう。そこで、認知療法では(1)ほとんど自動化していて(当たり前になっていて)自分でも気付きにくい思考・認 知のパターンを発見・確認し、(2) その「歪み」に気付いて、かわりの思考・認知のパターンをつくり、(3)それらを記録する、というのを繰り返し行っていきます。そのための記録用紙(様 式)に(これにはいろんな種類があるんですが)、困ってる本人が書いていく、というのが認知療法の中心になります。
 コラム法がわかりやすかったために、かわりの思考・認知のパターンをつくるのに、自動思考を理屈で引っくり返す、といった誤った印象が広がっている認知 療法ですが、(1)その自動思考が妥当かどうか証拠/反証を集める、(2)その自動思考が妥当かどうか自ら行動して確かめる(行動実験)、(3)その自動 思考の損得分析、等等いろんなアプローチがあります。

認知療法のはじまり

 認知療法は、狭い意味では「アメリカの精神科医アーロン T. ベック 博士が提唱した情緒障害(感情障害)に対する新しい心理療法」です。より広い意味では、エリスの論理療法やマイケンバウムの自己教示訓練などが含まれます(この3人が認知療法の 創始者というこ とになります)。ベックは医者、エリスは心理学者で、それぞれ精神分析を学んでいましたが、それに飽き足らず、独自の心理療法をはじめました。マイケンバ ウム はもともと行動療法の人で、行動療法に認知的技法を取り入れました(自 己教示訓練から認知行動変容そしてストレス免疫訓練を経て、さらに自説を発展させ「認 知行動療法」という本を書くことになります)。

 

認知療法の発展

 認知療法は、うつ病などの情緒障害(感情障害)の治療とし て、まず名を上げました。つまり薬物 療法に匹敵する効果があることを、数多くの臨床 例によって「証明」することができたのです。実はこれには、ベックが(1)うつ病を考えるシンプルなモデル、(2)うつ病の度合いを調べる指標(BDI= Beck Depression Index)、そして(3)療法の標準マニュアル、の3つを作り上げたことが大きく寄与しました。
 心理療法(精神療法)は、それまでアートの領域に属する と考えられ、セラピストとクライエントの関係が大切(それはもちろんです)、クライエントが異なればやることも異なる、そんなマニュアルなんて作れっこな い、といった風でした。
 これではセラピストやクライエント、そして時と場合によって、やることが異なる訳ですから、薬のように同じものをたくさんの人の治 療に使って効果があった、となかなか言いにくい。認知療法はもちろん実際に効果が高いことも重要でしたが、それ以上 に、開発者やその弟子以外の人たちが効 果を 科学的(統計的)に追試できるようになっていた点が、やはり大きかったのです。これには先進国ではどこでも医療経済が逼迫し、「効かない療法にくれてやる 金(税 金、社会補償費)なんかない」という主張が幅をきかし、エビデンス・エビデンス・エビデンスの声が高らかに響き出し、精神科だけでなく医療全体 のあるべき姿を変えつつあるになった社会経済状況も追い風になりました。
 この(1)患者にもわかるシンプルな疾病モデル、(2)効果研究に不可欠なアセスメントのツール(指標など)、(3)開発者やその弟子以外にも標準的方 法で治療できるようにするマニュアル、という3点セットはその後の認知行動療法にも受け継がれていきます(疾患モデル の方は、どんどん複雑になってきてますが)。

 認知療法は、その後、不安障害や恐怖症摂食 障害人格障害物 質依存統合失調症、 はたまた夫婦問題やストレスへの対処などなど、多くの問題に適用され、効果を上げていきました。とくに薬物難治性(または薬物療法抵抗性、薬が効きにくい /効かない)の場合に、それまでは「試行錯誤で処方を変えながら回復を待つ」「環境調整を試みる」「電気けいれん療法 (ECT)の適応を考える」ぐらいしかなかった治療者に、「効く精神療法(=認知行動療法)」という選択肢を提供して、その名を上げました。



認知療法認知行動療法

 認知療法認知行動療法は、今日では、中身はほとんど同じになっています。
 なんでこういうことになっているかというと、
からです。さっさと認知的転回をすませた行動療法が、認知だって感情だって行動の一種じゃないか(そんなわけで普通の行動はovert behavior(表立った行動)と言い直されることになりました、「死体テスト」はどこへいったんだい?)、と開き直った(?)ことも、コンフュージョ ンを進めました。

 そんな訳で、
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