自傷行為とつらい感情に悩む人のために

—ボーダーラインパーソナリティ障害(BPD) のためのセルフヘルプ・マニュアル


弁証法的行動療法(DBT)は、 行動心理学者であるMarsha M. Linehanが1987年に開発した外来治療プログラムで、
現在欧米において境界型人格障害に対する有効な治療法として立証され、広く支持されています。
アメリカ精神医学会の「境界性パーソナリティ障害治療のためのガイドライン」においても、 
「BPDに対する治療法として有効で効果的な精神療法」として推奨されるエビデンスを備えた精神療法とされています。

この本はリネハンの弁証法的行動療法(DBT)に基づいた境界性パーソナリティ障害(BPD)向けのセルフヘルプ本です。

 [原書名:Managing Intense Emotions and Overcoming Self-Destructive Habits : A Self-Help Manual〈Bell, Lorraine〉 ]
 299p 21cm(A5) 誠信書房 (2006-01-25出版)
 ベル,ロレーヌ【著】〈Bell,Lorraine〉・井沢 功一朗・松岡 律【訳】
 [A5 判] NDC分類:493.7 販売価:\2,940(税込) (本体価:\2,800)


(目次と簡単な内容紹介)
パート1 問題群の理解とはじめのステップ
 
 第1章はじめに—このマニュアルの対象者と使い方
  BPDの人がよく抱える問題、簡単な自己チェックリスト、「境界性人格障害」という
 診断名がつくことの功罪、マニュアルを使う注意事項(読むだけでは駄目で,実際に指
 定される練習をやること)など。
 
 第2章メンタルヘルス専門家のための覚え書き
  何かと医療者の間でも「偏見」が多いBPDについて最近の知見の紹介、治療者として
 の注意事項、どのようなクライエントにこの本のプログラムは使えるか(文字が読めて,
 今までと違うやり方で自分の問題に取り組むモチベーションがある人が適応)など。
 
 第3章いかにして問題群は生じるのか
  BPDについての患者向け紹介。リネハンらのBPDの捉え方(情動の制御不全)が紹介。
 BPDの人が持ちがちな信念や、対人関係のなかで安心感が持てない訳など。
 
 第4章より良い生活を送るための基本
  プログラムの前提となる「自分の体を大切に扱うこと」やプログラムに取り組むこと
 に際しての「約束」について。
 
 第5章薬とお酒の使い方
  BPDの患者にアルコールはどのような使われ方をしているか、それによってどんな問
 題が生じているか。
 
 第6章感情を理解しうまく扱う
  DBTの他のスキルの基本となる、いわゆるマインドフルネスについて。感情を爆発さ
 せるのでも押さえつけるのでもなく、ただそうしたものとして受け入れ,感情の流れを
 ながめ受け流していくスキルの説明と練習。
 
 第7章思考の習癖と信念を調べ,修正する
  BPDの人が抱えがちな問題を助長する思考パターンの紹介と、自分の思考と信念を
 記録し,再評価し、別の観点を持つためのスキルの説明と練習。いわゆる認知療法のコ
 ラム法に近い。
 
 
 パート2 問題群に取りかかる
 
 第8章うつを克服し、難しいさまざまな気分をうまく扱う
  活動記録やうつ気分を取り除く技法、対処の難しい問題や緊張や不安を解く為に即効
 性のある方法の紹介とその練習。
 
 第9章児童期の虐待に取り組む
  親の養育態度についてのチェックリスト、幼児期の虐待とネグレクトに対する現在で
 きる対処スキル、悪夢やフラッシュバックに対する対象法などの紹介と練習。
 
 第10章自傷行為(沈黙の叫び)を克服する
  過去の自傷行為の理由と結果を書き出し、やめたい気持ちのリストを作り、自傷行為
 のセルフケアの方法、自分をなだめ、いやな気分を発散する方法の紹介と練習。
 

32 名前:優しい名無しさん 投稿日:2007/02/04(日) 14:53:14 ID:4EqTQdYO
 第11章私と私—自分を気づかい、共に生き、好きになることの学習
  自分自身によるネグレクトをチェックするリスト、自分自身とともに生きる為のスキ
 ル、自分自身についての感じ方/考え方を変える練習など。
 
 第12章私と他の人たち
  対人関係のパターンを書き出し,助けてくれた人リスト、嫉妬リスト、拒絶する理由
 リスト,他人を喜ばせる方法と対象者リストなどをつくる練習,対人関係の悪循環から
 自分を守るスキルの紹介と練習など。
 
 第13章怒りの感情をうまく扱い弱める
  感情日記をチェックして怒りのパターンを見つける、怒りを引き受けるスキルと練習、
 怒りからのダメージを弱めるスキルと練習、怒りの階層表づくり、怒りを扱う自己陳述、
 怒りをうまく表現するスキルと練習,乱暴な口論を避けるスキルと練習など。
 
 第14章その他の問題ーゆきずりの性交渉、摂食障害、幻覚
  衝動的になるパターンのリストづくり、性交渉のメリット・デメリット表づくり、性
 交渉した相手と感情のリストづくり、摂食障害のメリット・デメリット表づくり、ボ
 ディ・イメージのチェックと変更のスキルと練習など。
 
 第15章その後は
  セラピストとの分かれ方(自立の仕方)、1ヶ月〜数ヶ月後のライフ・プランを立て
 る練習など。
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