筋肉弛緩剤

運動神経はコードになってて、その先端のプラグは「運動終板」という筋肉側のジャックに繋がれている。この間(すきまがあるのだ)を橋渡しするのが、神経ホルモンであるアセチルコリン。筋肉弛緩剤は、この「神経のつながり」を邪魔して、筋肉を弛緩させる。つまり神経から信号パルスが来ることで筋肉はぴくぴく緊張するのだが、信号パルスがこないようにしてしまうのだ。邪魔の仕方に2種類あって、「運動終板」を遮断するタイプと、「運動終板」を興奮させて何がなんだかわからんようにしてしまうタイプがある。
 代表的な「遮断タイプ(非脱分極性筋弛緩剤)」の有効成分に、d−ツボクラリンがある。「運動終板」側のアセチルコリンのレセプターを、先に押えてしまうのだ。しかもこいつはCNS(センターナル・ナーバス・システム、つまり中枢神経系のことだ)にまでは、入っていかない。ちょっと薬理学の本を読んでみよう。『おそらく患者は十分に意識のある状態で、筋弛緩による呼吸困難を経験するが、(筋弛緩してしまっているので)いかなる方法によってもそれを表現することができないだろう』。こわい、こわいぞ、こわすぎる。
d−ツボクラリンは静脈注射で常用量10mg。筋弛緩は4分以内に完了し、人工呼吸器なしでは窒息死に至る。

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